- 1044 コーヒーブレーク
- NAME : AOZORA 2014/09/21 11:27:52
- 管理者様、久々に寄らせていただきました。当方、防災ヘリの運航に携わっていますので、
このところの不順な天候に、少々憂鬱な毎日を送っております。
さてさて、以前、コーヒーブレークとして、Ktからm/sの変換や、滑走路の半方位の出し方 、標準旋回バンクの出し方など、知って得する(知ってて助かる)内容を書かせていただきました。
本日は、少し嗜好を変え、ヘリコプターの離着陸についてのコーヒーブレークをいたします。
ヘリコプターは、狭いスペースで離着陸ができるので、美味しい蕎麦屋さんの駐車場に降りて 食事をして、渋滞に巻き込まれず帰宅できたら素敵だなあと、私も思っておりました。
ただ、この夢のような行為も航空法第79条により制約を受け、一般に航空機は空港等においてのみ 離着陸が許されております。法令に違反した場合、50万以下の罰金が科せられることになります。
でも、田んぼの脇に着陸している散布ヘリや、グランドに着陸しているドクターヘリを見かける ことがあります。前者は、国交省に離着陸の申請を行い、許可を得たもので、後者は、捜索・救助
に関わる運航で特別に法の適用除外運航を認められたものです。
前述したお話の場合、お蕎麦屋さんの許可を受け、周囲の障害物などが航空法の規定を満たしている 場合は、国交省へ利用者が申請を行い、許可を得ることで、離着陸が可能となるかもしれません。
私たちが通常、業務で離着陸する場所は「ヘリポート」で、公共用、非公共用、飛行場外離着陸場 の3つに分けられます。公共用ヘリポートは、不特定のヘリコプターが、特に設置者の許可なく利用
できるヘリポートです。非公共用ヘリポートは、特定のヘリコプターが、設置者の許可を受けて利用 できるヘリポートです。飛行場外離着陸場は、利用者が設置者の許可を受けて、国交省へ使用の申請
し、許可を得てから利用できるヘリポートです。ヘリポート設置についてそれぞれに異なる基準が ありますが、ここでは割愛いたします。
仕事でヘリコプターを離着陸させる場合、私たちは次のことについて考え、配慮し運航してます。
@離着陸場所の周囲の障害物(特に線状障害物)、病院、学校、家畜舎等、騒音配慮建物の有無 A離着陸場所の風向風速 B離着陸場所の安全管理(地上支援員による注意喚起)
これらが全てクリアとなって初めてアプローチを開始します。ヘリコプターの本当の脅威はここから 先にあり、ヘリコプターの下にはダウンウォッシュと呼ばれる強い吹き下げ流域が必ず存在します。
防災ヘリともなると5トンを超え、そのダウンウォッシュは、直近では成人でも立っていられない程 になります。この風圧により、物を壊したり、人を怪我させてしまうと大変です。航空法により、
報告しなければなりませんし、保障問題も発生してしまいます。何より様々な方々に迷惑をかける事 になります。土のグランドに着陸するときなどは、事前に水撒きをしていただかないと、
砂煙は数キロ先まで流れていき、洗濯物を汚してしまうことにもなってしまいます。(実話???)
要請による緊急運航であっても、迷惑をかけることはあってはなりませんし、空港以外の場所での
離着陸時には、毎回胃が痛くなるストレスを抱えて運航をしております。(顏には出しませんが・・)
何だか、今回は泣き言で終わってしまいました。天気のせいということでお許しください。
管理者様、また、コーヒーブレーク思いつきましたら、寄らせていただきます。
- 1044-1 NAME : 管理人 2014/09/21 22:54:49
- ほうほう、勝手な着陸は駄目なんですね。
まあ、日本の様に電線が多い国ですし、法的な規制が有った方が良いでしょうね。 行政の規制は好きになれないけど、狭い国だし仕方ないかな。
そう言えば、20年ほど前に高速のパーキングエリアに降りたってニュースが有ったな。
- 1044-2 NAME : くろ 2014/09/22 07:02:32
- 店の屋根におおきく”うどん”とか書いてるの汚いですよ!
- 1044-3 NAME : AOZORA 2014/09/22 09:51:41
- 管理人様
残念なことですが、捜索・救助の特例運航も、法的基準を満たしたヘリのみしか法79条の 適用除外が受けられず、飛行の理由が被災者支援といえども、プライベートのヘリの自由な
離着陸が許されるわけではありません。去年の年末ようやくドクターヘリ、医療搬送用ヘリの 場外離着陸について緩和されたばかりで、プライベート機については全く白紙です。
ドクターヘリの普及に伴い、インフラ整備も進み、高速のSAに逐次車両事故を想定したヘリポート を設置するような動きがあると聞いております。当方も、特にトンネル出入口付近への設置は、
事故発生時、緊急車両の接近が困難になると予想される場合に、ドクターを現場投入する手段として 最適であると考えます。高速道路上への着陸は、走行車線の安全管理が非常に難しいのが現状です。
くろさん
はじめまして。屋根にお店のなまえが書いてあるの、たまにありますね!未来を予測してのこと? 考えると笑ってしまいます。
学校の校舎や公共の施設、病院などの屋上には、施設名が大きく表示してある場所があります。
これらは「ヘリサイン」といいます。阪神淡路の震災の教訓として、ヘリコプターの救助活動時 ヘリサインにより、要救助者の所在の確定が明確にできるようになる効果があります。
周囲に類似の施設がある場合、誤って向かってしまったり、位置通報してしまったりする場合が 多々あります。それを防ぐ手段としては最適で、我々としても助かります。
ただ、塗装に費用がかかることや、屋上を太陽光発電に使っている場所も多く、思ったほど普及 していないのが現状です。いつ起こるか分からない災害への投資とは難しいものです。
- 1044-4 NAME : くろ 2014/09/23 05:42:02
- AOZORAさん、こちらこそはじめまして。
阪神大震災の際、私は海外におりまして、国際電話が繋がらない、放水艇のパイロットが、なぜ日本は火消す許可をくれないのか。 帰国したらヘリの音がうるさくて下敷きになっている人の声が聞こえなかったとかなどいろいろありました。 あの頃と時代もすこしずつ変わりましたね。
- 1044-5 NAME : 管理人 2014/09/23 18:10:43
- 無秩序な許可までは不要と思いますが、東日本大震災の様な人の生命に関わる範囲は特例とかを認められる国になって欲しいですよね。
原発が爆発した後にボランティアで飛行機で救援物資を運ぶにも、許可で苦労したと言う話を聞いた事があります。
何が「人の生命」となるのか?との判断基準が主観的になるので簡単な事では無いとは思いますが、大規模震災はある程度の規制緩和が無いと助けられる命も助けられないのかな?とか なぜ行政の判断が人の命よりも大事なのかなと思ったりもしますね。
まあ、うどん屋や蕎麦屋の隣りってのは行き過ぎな気もしますが、安全の確認が取れ、住民の合意があれば認めても良いのでは無いかなとも思います。 規制を強めてしまい、民間機の行動を制限するのは技量維持には疑問です。規制を強めるだけでは無く、行政が技量の向上に協力すべきじゃ無いのかな?と思ったりします。
アメリカの航空局は、技量の向上やGA、プライベートの人口が減る事に危機感を感じていると聞きます。その証拠がSports Pilotという資格でしょうか。
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