- 153 キャブレターアイス
- NAME : 野里元規 2014/09/22 12:43:30
- 上田教官、いつも貴ホームページでいつも勉強させて頂いております。 また質問にご丁寧に答えてくださる
管理人様をはじめ先輩パイロット方ありがとうございます。 私は、学科試験に向けて模擬試験を受けているのですが、 このような問題があり、解答について教官方でも意見が分かれました。(その場に教官長はいなかったので、氏にはまだ解説 をしてもらってません)。どのような状況が1番キャブレターアイスが起きやすいか?なのですが、 模擬試験の正答を先に記述すると、キャブレターアイスが1番起きやすい状況は、−5度から18度で、 低回転の時であるなのですが、もう一つの選択が、−5度から18度で高回転の時とありました。高回転と低回転ですが、私は高回転と答えました。 一人の教官と私は、高回転つまり多量の湿気を含む空気が入る、なお且つ高速で空気を流入するので、キャブレター 内での熱を奪うので高速の方がキャブレターアイスが起きやすいのではないか?でした。 上田教官、ご指南をお願いいたします。
- 153-1 NAME : ふくねこ 2014/09/23 11:07:33
- わーい。変則的な平日のお休み♪
管理人さんはじめ、自営業者の皆様、ご苦労様です。
さてさて、Carburetor Iceの問題は相手が水だけに、実は結構ややこしかったりします。 でも結論から言えば、中低温・低回転時が最も発生しやすそうです。 理屈はともかく理由は簡単で、Engineの回転数が高いときはCarburetorのThrottle Valve開度が大きくて「結氷する場所が少ない」からです。 (って断定的に書いてるけど、要因は他にもありますし、水の専門家では無いので推論込みですが。) なので、Engineの回転数そのものよりも、このValve開度が影響します。 当然Valveを開ければ空気と燃料の供給量が増大してEngineの回転数が上がる結果になります。 この時にはManifold内を空気・燃料混合気(Emulsion)はスムースに流れるので、結氷する場所がありません。 (まぁ健康な動脈と、血栓のできた動脈みたいなもんでしょうか?)
低回転時にはThrottle Valveが閉まった状態にあり、空気はその隙間を流れていきますから、この部分で流れの滞留が発生することで、Icingが発生し、さらに隙間が狭くなりAirflowが不安定になることで、Engineが咳き込んだり、回転が落ちる等、不調が生じます。 水分が氷結するには、その核となるものが必要で、この場合はThrottle Valve(Butterfly Valve)が核になります。 空気の流量が増えれば、吸入する水蒸気量も増大するというのも間違いではありませんが、大量の水蒸気を吸っても、結氷する「きっかけ」が無ければ氷は発生しません。
教科書的には、上記の理由によりManifold内または気筒内に直接燃料を噴射するInjection方式のEngineではCarburetor Icingは発生しません。 (ってか、そもそもCarburetorが無いんだから、Curb Iceは無いだろうって、思わず心の中で突っ込んじゃいましたが。)
とまぁ技術的にはこんな感じですが、飛行機の世界ではまた異なった認識、説明があると思いますので、その辺は専門家の方にお任せします。 かなり端折りましたので、突っ込みどころも多々あるかと思います。 掲示板の趣旨もありますので、Student Level内であれば、ぜひ突っ込んでください。(こーゆーの好きなので♪)
- 153-2 NAME : 管理人 2014/09/23 21:24:39
- 野里さん、ふくねこさん、 こんばんは。
野里さん、通常の考えでは燃料の気化によって、気温が低下してしまうのが原因です。 そして、質問の回答は私も回答は低回転だと思います。 理由は後半に・・・
ふくねこさん、よい回答では無いでしょうか? もう一つは、気圧低下による温度の低下は無いかな。もしくはエンジン自体が巨大な真空ポンプと考えられないでしょうか? (Kiyoさんに教えて頂いた考え方です。)
エンジンと言う真空ポンプがあり、空気取り入れ口でも有るスロットル弁が閉まってると、気圧がグーンと下がる。 気圧が下がると気温も大きく下がりますよね。
指摘されている閉塞もアイシングの理由にはなり、名前もあります。Intakeには90度曲がるカーブもあり、燃料を出すノズルとそのノズルに続く燃料ラインも途中にあり、スロットルの弁に関係なく、気流を妨げる物があります。 この部分だけを考えると、高速(高回転)の方がIcingが多いかも知れませんよ。
---また野里さんに
気圧が下がると、気温が下がるのはご存知と思います。 (理由は調べてみて下さいね。 物理の原理です。)
低回転と言う事は、スロットルバルブ(弁)が閉じた状態と言うか、真空ポンプへの気流の流れ道が邪魔された状態です。 真空ポンプがガンガンと動いて居るけど、十分な空気が入らない。 そんで気圧が下がり、同じ様に気温も下がる。 そして、外気温度が高くても氷が生まれてしまう。
それとベルヌーイの定理にも関係があります。弁が殆ど閉められている為に、狭い隙間を多くの空気が通過しようとして、速度がグーンと上ります。 すると、Low RPMのバルブが狭い状態では速度UP=気圧Downになりますよね。(ベルヌーイの定理) その気圧低下で気温もグッと下がります。
Partial Throttleの場合: ・EngineがVacuum Pumpと同じ働きをして、バルブが閉まると気圧が下がる ・狭い隙間だと、気流が高速になり、気圧が低下。その為に気温も低下する。
もちろん、ふくねこさんの指摘する様に場所が生まれるのも事実です。 その為に、キャブレター後におおきく曲がる部分があるのですが、そこで氷が出来るのも有名な事でしょう。 キャブレターからエンジンまで、真っ直ぐな所ばかりなんて事は有り得ません。もちろん、スロットルの前でも可能性はありますので、Heaterの入り口は寸前ではなく、空気取り入れ口のそばにあります。
教官方の中でも意見が分かれたって事で、情報源を FAA-H-8083-32 Aviation Maintenance Technician Handbook - Powerplant Volume 1 Page 3-5
別にLOW RPMとは書かれていませんが、Part-Throttle Operationと書かれています。 Engineが真空ポンプになるとは書いていません。
- 153-3 NAME : 野里元規 2014/09/24 12:16:47
- 管理人様、ふくねこ様。 ご丁寧に調べてご回答頂きありがとうございます。
ベルヌーイの法則と気圧の温度の変化を勉強して、本日教官長からも解説して頂きました。 答えは、上記のご説明と同じもので、今回も勉強になりました。 お忙しい中、いつも詳しく説明して頂きましてありがとうございます。 今回の勉強で、アイシングの危険性がよく理解ができました。 これからも分からないことがあれば質問させて下さい。ご指導をお願いいたします。
- 153-4 NAME : 管理人 2014/09/25 23:42:20
- 野里さん、こんばんは。
追加: Carb Iceの可能は何時でもあるってのは忘れないでくださいね。 ふねこさんの書く、閉塞の様な部分と言うか、気流の流れが悪くなる部分は確実にあります。 平均的には直角に曲がる部分が2箇所はあると思います。
確立が高いのは、低回転です。 実際にCarb Iceを聞くのは、Engine IdleにするEmergencyの練習時が多いです。 練習で、そのまま本当のEmerencyで降りたって話は頻繁に聞く話です。 (その為に長期のアイドルが続く時はClearingと言い、Powerを入れるでしょ?)
そして、着陸の時かな?
でも、可能性が高いだけで、Full PowerやHight Powerの時でもCarb Iceになる場合があります。
実は私も経験がありまして、クルーズ中にエンジンの回転が急に落ちた事があります。 何もしていないのに、エンジンの回転数が落ちました。 振動はありません。 何もしてないのにスロットルを引っ張った様な状態です。 結局はCarb Heatを入れたら、すぐに元に戻りました。
可能性は何時でもある、と忘れずにね。 それと、アイドルが続く時はCarb Iceでエンジンが停止してしまう事も多いと。
- 153-5 NAME : 野里元規 2014/09/27 08:54:59
- 管理人様、ふくねこ様。 キャブアイスについて詳しく知識を習得することが出来ました。
ありがとうございます。 これからも教えて頂いたことしっかり実行して訓練に臨みます。 それと私も緊急着陸の訓練を受けましたが、500FT降下するごとにガス入れをするように指導されました。 それで、必死で緊急着陸場所を探している時は、ガス入れを忘れてしまい、横から「ガス入れを忘れてるぞ。」 と怒られて、横からブイーンとアクセルを全開にしてガス入れをしてもらいました。 私はそこまでガス入れの 理由を考えていなかったので勉強になりました。 ありがとうございます。 それと、管理人様のホームページでいつも勉強させて頂いてました。お陰様で本日学科試験に合格しました。 本当にありがとうございます。あと、クロスカントリーと実地試験ですが、これからもお忙しい中、お時間が 許しましたらご指導をお願いいたします。
- 153-6 NAME : 管理人 2014/09/29 23:19:33
- X-Cと実地の件は、理解できる範囲でなら、なんぼでも。 メールで電話番号を教えてもらえれば、電話ででも説明しますよ。 今は国際電話でも安い物です。 関西弁がOKなら、電話の方が嬉しいぐらいです。今までに国際電話で100時間以上は話してると思う。(国内の携帯に電話するより安い!)
ガスを入れるのは、本当にEmergencyになってしまうので忘れずにね。 夏場でも上空は気温が低いから注意が必要です。
ガスを入れるって表現ですが、間違いじゃ無いのですがちょっとスラング的ですね。"Clear the engine"とか"Open Throttle (little while) "ってのが多いかも。
まあ、全開と書かれてますが、別にGreen ArcまででもOKって言う人も居ます。 キャブアイスとプラグの汚れを確認するのが目的見たいな物ですので、Full Throttle(全開)だと行き過ぎな場合も有りますよ。 ここらは、バランスを考えてね。
- 153-7 NAME : Taru 2014/09/30 19:54:31
- 野里さん、こんばんは。
キャブアイス、暖気運転中でも起こる可能性があります。 チェックリストを単純に手順としてこなしていると、見落とす可能性すらあります。ご用心ください(^-^)
Carb Heat. ON Temparature Increaase (もしキャブレター温度計が装備されていれば) RPM Decrease ここで、回転が上がることがあります。キャブアイスが起きています。中の氷が融けて解消してもう一度チェックすると、回転数が下がります。
蛇足ながら同じライカミングのO320やO360でも、固定翼機よりロビンソン(回転翼)の方が経験上、より頻繁に地上でのキャブアイスに遭遇する様な気がします。
これからも、訓練楽しんで下さいませ(^o^)/
- 153-8 NAME : 管理人 2014/09/30 23:37:40
- Taruさん、こんばんは。
私の場合、地上ではキャブアイスの経験は無いですね。 でも、考えるとTaxiingなんて最適なキャブアイスの状況ですね。 多湿な日本だと多いのかな。
いつも思うけど、西海岸は良すぎて駄目だなと思ったりします。 まあ、早く免許を取るには良いのですけどね。
- 153-9 NAME : 野里元規 2014/10/02 00:59:53
- 管理人様、TARU様 アドバイスをありがとうございます。
地上でも、アイシングの危険があることも教官からも学びました。 でもそのあと教官から、「それで、地面でカーブヒートを使用する時の注意点は?」と質問されて、 答えられませんでした。 ちゃんと上田さんのホームページで解説してくれているのに。。 答えは、ヒィルターを通してないので、砂ぼこりやエンジンの異物混入に注意するようにですよね。 もっと勉強します。
- 153-10 NAME : 管理人 2014/10/02 07:48:36
- 勉強してますね。
Crab Heatの注意点はUn-Flitered Airを使う事です。 地上じゃ埃や、土、ゴミ、虫等が多いから注意したい所ですね。
そして、もう一つ。(まあ、重要度は下がるので、聞かれもせずに言わなくても良いけど、雑学に) 熱い空気が送られるので、MixtureがよりRichになります。 Takeoffの時にRichだと全力が出ないので問題外ですが、Taxiing中ならそこまでPowerは不要です。 が Richって事は燃料が行き過ぎる状態には変わりません。 Spark Plugがかぶりやすくなりますので(Fouling, Carbon Deposit) そちらも、注意して下さいね。 Carb Heat OFFでも頻発するので、TaxiingではLeanにする人も多くないですか。
まあ、追加的な雑学です。 考える事で、エンジンの事が少しでも理解できればと思います。 考える事、経験する事が大事と思ってます。
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