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114 プライベート筆記試験の質問
NAME : nakayama 2013/12/12 16:54:36

初めて質問させて頂きます。国内でプライベート筆記を勉強中の者です。
以下の問題がちょっと分かりにくかったのでお聞きしたかったです。


@The amount of excess load that can be imposed on the wing of an airplane depends on the

A.position of the CG.
B.speed of the airplane.
C.abruptness at which the load is applied.

正解はBのスピードというのは分かるのですが、Cのabruptness(急激さ)だと何故ダメなのかが分かりません。急激な操作も超過荷重の量を増やすようなイメージがあったので迷いました。もし何か理由があればお教え願います。

次は、

AWhat is an advantage of a constant-speed propeller?

A.Permits the pilot to select and maintain a desired cruising speed.
B.Permits the pilot to select the blade angle for the most efficient performance.
C.Provides a smoother operation with stable RPM and eliminates vibrations.

こちらも答えがBというのは分かるのですが、Cが何故ダメなのかが分かりません。constant-speedだからRPMが安定して振動も減るような気がしたのですが・・・。

三つ目の質問です。
Bコンスタントスピードプロペラは、パイロットがプロペラピッチを調節できると思うのですが、ガバナーとの役割分担はどうなっているのでしょうか?恐らくガバナーはプロペラ回転が一定になるように自動的にピッチ角を変化させる様な機能があると思うのですが、どこまでパイロットが操作して、どこまでガバナーが自動調節するのか、イメージが掴めません。

質問は以上です。
選択問題は正解を覚えれば間違った選択肢の理由まで知る必要はないのかもしれませんが、どうも引っ掛かってしまいます。コンスタントプロペラに関しては何となく理屈は分かるのですが、実際の操縦のイメージが掴みにくいので質問させて頂きました。何せ素人なので前提となる知識自体が間違っている可能性もありますのでその際はご容赦下さい。
宜しくお願い致します。





114-1 NAME : 管理人 http://www.higashioji.com/  2013/12/12 22:05:41

nakayamaさん、 質問をありがとうございます。
最近は静かだったので、助かります。
今から説明文を作りますので、ちょっとお待ち下さい。
各問題、別々に答えます。



114-2 NAME : 管理人 http://www.higashioji.com/  2013/12/12 23:03:27

第1問目
正解はBで、Cはパッと考えたらそんな気はしますが、間違いです。

先に答えを書くと....
疑問のCですが、急激な操作とかは関係が無いのです。Load(Lift)を生むのは翼です。急激な操作だけでなく、乱気流、アクロ、ウインドシェア、普通の操縦でもLoadは増えたり減ったりしますが、どんな方法でも揚力は翼が発生させてるのです。 急な操作は急に迎え角が増えただけですので、Va以下で飛行してるなら、危険なほどLoadが増える前に気流が剥離して失速します。 ですから、「abruptness」は余り関係はありません。 Vaを超えた時のabruptな操縦や飛行は危険ですが、それも速度を超過した場合です。


この説明で分からない!となれば、、、初めから説明すると・・・・・

飛行機の翼は、条件が合えばどれだけでも揚力を作る事が可能です。 ですが、作り過ぎると翼の根っこが折れてしまいます。 これがこの問題と言うか、LoadやLoad Factorを考える時の基礎です。

「翼の揚力」は「体などの重量」と正反対の方向に出ています。 4つの力に有った、LiftとWeightの関係です。 胴体は引力で下に行こうとするのに、翼が揚力で上に行こうと翼の根元には強烈なストレスが発生しています。 
(紙飛行機や壊れそうな飛行機模型を飛ばすと、翼が上方に折れ曲がってしまう現象を見た事は無いでしょうか?)

じゃ、根元を強くすれば良いじゃん!となりますが、そうなると重量が重たくなり重量オーバーで飛べなくなります。(根元だけでなく、翼全体を強くする必要が有るので、単純には行きません) それでUtility Airplaneは4.4Gと重量の4.4倍までの揚力に耐えられる様にと設計します。 (考え方を変えると、それを超えると空中分解です。 安全を考えて、1.5倍の余裕は持たせてますが、色々な虐待を耐えてきた訓練機と考えると・・・)

さて、このLoadやLiftと言うのは翼が発生させています。 Lift、揚力は角度(迎え角、Angle of Attack)、大気密度、そして速度の2乗に比例して増えていきます。 理論上だけで考えると翼の揚力は折れてしまう4.4Gどころか10Gとか20Gも作り出せます。 これは揚力ってのは速度の2乗に比例するので、早くすれば何とでもなるのです。

でも、速度が遅いと簡単には揚力は生まれませんので、ピッチアップ(機首上げ)などをして揚力を増やしてやる事になります。 ピッチアップをしてやれば、揚力もグングンと増えていきますが、やり過ぎると失速(Stall)を越してしまいます。 失速を起こすと揚力が無くなるので、急速の負荷(Load)が無くなってしまいます。

失速!と聞くと怖いイメージが有りますが、機体には優しい物なのです。 離着陸中の失速は地面に衝突するので危険で、内部の人間も急に落ちて驚きますけど、機体には反対で気楽な状態です。
ですから、低速では翼が折れてしまうほどの負荷が生まれる前に失速を起こしてしまいます。怖いのは高速です。 高速では失速する前に、翼が折れたりと危険な状態になるのです。 この限界速度がVaと呼ばれる速度です。

考えはLift (Load)が有り過ぎると空中分解かStrcutual Failure、でもStallが空中分解を防いでくれる時もある。 Stallは驚きますが、高度さえあれば回復は問題なく出来ますよね。 でも空中分解とか機体の損傷は回復は不可能です。(少なくとも上空では) この境目がVaと呼ばれる速度です。 アクロバット飛行や乱気流の中を飛行する時は速度、Vaが大事になります。



114-3 NAME : 管理人 http://www.higashioji.com/  2013/12/13 00:46:31

第2問目
これも正解はBで、Cはパッと考えたらそんな気はしますが、ちょっと間違いです。
「constant-speed」ってのはプロペラの回転数(エンジンの回転数)が一定になる仕組みって事でして、振動には関係がありません。 
・stable RPM これは正解です。
・eliminates vibrations. ここが難しい。間違いでは無いのですが、100%の正解とも言えません。 

振動はエンジンの性質や仕組みが原因と言いましょうか。 これに関してはConstant-Speedでなくても共通の事なので、質問にある、このプロペラの「an advantage of」(利点)に当てはまりません。

振動は、エンジンの隙間や燃焼、排気音、そしてプロペラの回転が原因です。設計の段階で隙間を少なくするとか、Fuel Injectionを採用する、デジタル化を進める、特殊なプロペラ設計を用いる、クッション性を高める等が考えられますが、別にConstant-Speedでない飛行機に使っても良いので「an advantage of」の利点とは言えません。
まあ、Constant−Speed Propでは回転数も制御できるので、巡航中とかに回転数を落として振動を抑える事も出来ますので、振動を抑える効果はあります。 でも実際では、それがそれほど大きな利点とは思われていません。

Bの回答に有る、最適なプロペラ角(Angle of Attack)が選べたり、自動的に合わせてくれたりする事の方が遥かに大きい利点であり、その為に開発されたプロペラの仕組みがConstant-Speed Propです。



114-4 NAME : 管理人 http://www.higashioji.com/  2013/12/13 01:24:06

第3問目
イメージが難しいのは理解できます。私もかなり苦労しましたし、理解してない人も多いのであまり深く考えない様にね。 Privateでは大半がFixed Pithを搭載してる飛行機で訓練をします。 一部の人はConstant-Speed Prop機で受験しますが、本当に一部の人だけです。 一般的にはCommercialやCFIのレベルです。

Constant-Speed Propは、大きく分けて2つ有ると思います。
1.エンジンの先に付いているプロペラ本体、と
2.疑問に思われている回転を制御するガバナー、です。
(これは私が勝手に考えてる2つで、考え方を変えれば色んな分け方があります。)

エンジンの先端にはプロペラ本体が付いています。 Constant−Speed Propの場合は先端の中心部にはシリンダーとピストンが有り、これらの動きでプロペラの角度を変化させています。このプロペラの角度を変える物は複数有りますが、回転を制御しているのはエンジンオイルの油圧です。

そして、エンジンにはガバナーと呼ばれる部品がマグニドーの様に付いており、内部にはマグニドーの様にエンジンのクランクシャフトとギアで直結されています。 (エンジンの前後ろか上下の何処かに付いて居ますが、プロペラスピナーの内部では有りません。)

ガバナーの内部には色々な部品が付いていますが、主な目的はエンジンの回転を感知して、プロペラ部分に高圧のエンジンオイル(Oil Pressure)を送ったりしています。 ガバナーにも複数の種類があるので、全部が同じとは言えませんが、、、、セットされた回転数を超えるとプロペラ部分にOil Pressureを送ったり、回転が減るとOil Pressureを抜いたりして、油圧でプロペラの角度を調節します。(逆の場合も有れば、High RPMでA部に圧を送って、Low RPMでB部に送ったりするタイプも有ります。) そして適切な回転数RPMで油圧が一定になり、角度も一定になります。

コクピット内にあるプロペラ・コントロールはこのガバナーに連結されており、回転数を制御します。(プロペラに送られるOil Pressureが一定になる回転数で、上の「適切な回転数」の部分になります。) 

 一応レベルでは知っておくべきですが、その程度。 あまり時間を使うのは賢いとは思いません。 Cessna 182やボナンザとかで飛行試験をしないのであれば、普通は忘れてしまわれてしまいます。実際では、Commercialの時に試験対象になるぐらいかな。 まあ、Private Pilotでも飛行は可能なので知っておいても損は無いですが、余り無理をして時間を浪費しないでね。



114-5 NAME : 管理人 http://www.higashioji.com/  2013/12/13 01:36:14

忘れてました。

「どこまでパイロットが操作して、どこまでガバナーが自動調節するのか、」

ガバナーは操縦士が設定を変えない限り、同じ回転数を守ろうとします。
パイロットは回転数を変化させたい時に操作します。

単にスロットルを絞ると、Constant-Speed Propは空気抵抗が増えたのか、エンジンの出力が減ったのかは分かりません。ガバナーも空気抵抗が増えたのかなと感知するので、プロペラの角度が勝手に小さくなり回転数を上げようとする方向にOil Pressureを送ります。

すると、プロペラの角度が小さくなり過ぎて、効率が落ちてしまいます。 それでは不都合なので、パイロットがガバナーに角度を大きくして、回転数を下げて!と言う様なメッセージを送ります。

---

出力が一定で、回転数が同じなら、プロペラの空気抵抗は同じです。 抗力が同じならプロペラの迎え角も同じで、同じ回転数を守る事で、プロペラの効率も一定になります。 これが固定式なら機体の速度で、プロペラ効率が大きく変化します。 上空では離陸と違い、スロットル前回の全力では飛行しません。 少し出力を落として安定的な飛行をします。 この「少し出力を落とす」ってのがプロペラには判断が出来ないので、パイロットがプロペラコントロールで効率の良い回転数を保ちます。

後は、飛行機のマニュアル、POHを見て、適切な出力と回転数を選ぶ事になります。

凄く便利に出来た物ですが、理解は難しい!っての理解してます。 私の回答で理解できたとも思いませんが、お勉強室にリンクされているConstant-Speed Propの説明ページでも見て下さい。



114-6 NAME : nakayama 2013/12/13 11:44:07

ありがとうございます!
かなりすっきりしました。

一問目の「急激さ」は、単にロールやピッチの角度を変える時の時間が短くなるだけで、それ自体は荷重を増やす要因にはならないという事ですね。荷重を増やすのは、ロールやピッチを変えた後のアングルオブアタックとリラティブウインドの速度の関係で、アングルオブアタックが限界まで増加した場合→速度が遅ければロードファクター増加の前に失速、速度が速ければロードファクターが増加して機体破損の可能性、という事で、結局ロードファクターに最も影響するのは速度。

二問目は、コンスタントの場合RPMは安定するけど、振動に関してはコンスタントも固定式もそれなりに発生する時は発生するからコンスタントのメリットとは言えない。

三つ目に関しては、コンスタントの操縦のイメージとしては離陸時にはスロットルを全開にして回転数やピッチ角はガバナーに任せて(もしくはピッチ角は最少にセッティング?)、水平巡航飛行に移った時にスロットルを絞って、その際にピッチ角を手動で調整、という感じでしょうか。着陸の際は更にスロットルを絞るから、その時はまたピッチ角を手動で調節するのかな?まあ、あまり細かい事は実際にコンスタントを操縦する時が来れば、その時に教わって、体で覚えればいいのでしょうね。イメージが掴めたので感謝しています。

お忙しい中、非常に丁寧な回答ありがとうございました。
また近いうちに質問させて頂くかもしれないので、その時は宜しくお願いします。






114-7 NAME : 管理人 http://www.cfijapan.com/  2013/12/13 13:58:31

一問目は「結局ロードファクターに最も影響するのは速度」で良いですよ。 壊れるか? 損傷が発生するか? が分岐点で、その分岐点を決めるのが速度です。 「人間の驚き」よりも「実際の負荷」が重要です。

二問目は、「振動に関して」の部分がメリットとは言えない、が答えでしょうね。 厳密に言えばメリットなんですけど、その影響は小さな物です。 プロペラ効率が劇的に向上するのが良さですから。

三つ目に関しては、基本的には、その考えで間違いは無いですよ。 水平だけでは無いのですが、スロットルを変化させる時に微調節が必要だと思ってたらOKです。

着陸の際は更にスロットルを絞るから、その時はまたピッチ角を手動で調節するのかな? 着陸でも、着陸寸前になると出力をかなり落とすので、ガバナーやProp Controlは殆ど機能しません。 (ガバナーは最低角度にさせる程度です。) 最終着陸態勢になると、万が一の着陸復興、Go-Aroundに備えてHigh RPM(低角度)にしておきます。すると急な上昇が必要となりスロットルを全開にしてもエンジンダメージが起こりません。 (ここらは、今は気にしなくても大丈夫ですよ。上級ライセンスの時にでも)


> また近いうちに質問させて頂くかもしれないので、その時は宜しくお願いします。
最近は寂しくなってるので、楽しみに待ってます。 




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