一般的に翼の揚力は相対風(relative Wind)に対して垂直に出ています。 その為に、ピッチが低い高速な状態では大きな影響は少ないのですが、 離陸時の様なピッチ角度が大きく、速度が遅い時には、多くの風が下向きに強く流れます。 その結果、Angle of Attackが高い様な飛行では揚力(Lift)が後ろに傾きます。(右側のAirfoil) その結果、後ろ向きに傾いた揚力が飛行機を後させる様に後ろに引っ張ります。 これは、後ろに行く抗力と同じで、Induced Dragと言います。
低速では空気の流れが遅いので、より多くの空気を下に送り込みます。そして、大量の下降気流(Downwash)と共に揚力が後ろに後退して、強い抗力が発生します。
Lower Speed = Higher Pitch = More Downwash = More Tiled Lift = Stronger Induced Drag となります。
簡単に書けば、 「低速ではよりInduced Dragが発生する」です。
- 揚力を作るのにDownwashが発生
- そのDownwashがLiftを後ろに傾ける
- 低速ではエネルギーが少ないので、より多く風が下に送られる。
- 低速では、Downwashが強くなる
- 傾きが強いので、低速では揚力(Lift Vector)がより後ろに。
- 後ろに傾いた揚力が、飛行機を後退させようともする。
- これがInduced Drag
- (オマケとして、Wingtip(翼端)では空気の漏れで、Induced Dragの効力が強くなってるのも有ります。)
(航空力学の本を読むと、この0番の書き方は少ないでしょうけど、 よくよく考えると、結果は同じになると思ってます。
まあ、この説明が違うって言う人も居るでしょうけど、それも正解だとは思っています。 あまり細かいAerodyanamicsはこのサイトの趣旨とは違いますし、皆さんの免許には関係無いと思うので勘弁してください。 笑われても良いです。)
ここからはより航空力学的な考えです。 私は上の説明でも十分と思いますが、下のは違う視点からの説明と考えます。
興味があれば読んで見てください。 上と下では、ちょっと雰囲気は違います。
Wingtip Vortex と Induced Dragは、兄弟みたいな物です。 Wingtip Vortexでの説明を再利用して説明したいと思います。
1. 詳しく航空力学で説明すると。。。。 翼では気圧の違いで上に引っ張る力、揚力を生み出しています。

2.しかし、翼の端(Wingtip、翼端)の近くでは、揚力を作らずに、空気が横から(Outward)そして下から上(Upward)に移動(逃げて)します。

3. その際、翼端から円を描くように空気が流れます。特に翼の先が強くなります。
外に逃げて気圧の低い上に移動するので円状になります。(Outward > Upward > Vortex)

4. 円を描くように移動するのですが、飛行機は前に向かって進んでいるので、後方に向かって強い風が吹きます。
5. その為、円を描きながら後方に渦が残ってしまいます。 これがWingtip Vortexですが、この時にInduced Dragも発生します。

6. 注目すべき点は、下から上に来る空気の流れです。 気流の向きを下に変えてしまいます。これがInduced Dragの発生原理です。
回転はしていますが、最終的には下に行くのが分かって頂ければと思います。

7. Wingtip Vortex (Wingwash)が空気の流れ、Relative Windを下に押し下げます。 すると揚力が後ろに傾きます。
後ろに傾く分、揚力が飛行機を後方に引っ張ろうとします。これがInduced Dragです。

Relative Windが回り込む空気によって下に押さえられて、コースが下がります。
実際は水平の黒色の矢印がRelative Windなんですが、 風向きが変えられている為にピンク色の矢印が、実質的な気流になります。
その結果、揚力(Lift Vetor)が後ろに傾きます。 その傾いた分(緑色)が飛行機に対して抗力として影響が出てしまいます。
揚力(Lift)を考える時は、angle of attackを基本に考えるのですが、この状態ではWingtip Vortexによって、Relative Windの向きが下向きに変えられて角度が変化します。
この角度を、Effective Angle of Attackと言います。
このInduced Dragは速度が遅くなるにつれて、少なくなります。 そして、低速になれば、ピッチの高い状態になれば、 Induced Dragは大きく増します。
Slower = More Induced Drag
Aerodynamicsの世界ではこれがInduced Dragの生まれる元としています。 操縦士の世界で考えるなら翼によって発生するDownwashがInduced Dragを発生させると考えても良いでしょう。
(あまり細かい事を考えると切が無い世界なんで深く考え無い方が良いでしょう。 細かく計算したりすると結局は同じになりますが、 数式で考える時は基本となる物が無いと話が通じないからだろうかなと、想定しています。上にも書きましたが、違う様な、似た様な説明です。 皆さんは科学者では無く、操縦士を目指されているので、ここまで深く考える必要性は疑問です。 私は色々角度から考えると結局は同じになるのではと思ってるので、深く考える予定はありません。 皆さんは納得できる方で理解してもらえればと思います。 個人的には0番の説明で良いと思います。)