ELT Emergency Locator Transmitter
航空機用救命無線機、非常位置通報装置、緊急無線標識 ELT
航空機が墜落、遭難した時などに電波を自動的に発射し遭難場所を通報するための無線設備。 大きな衝撃があった場合(一部では水没した時にも)に自動的に信号を発信します。 Cessna 152/182の一般的な単発訓練機では、通常後部の壁の裏側にに装備されています。そして後窓の直ぐ側に30センチぐらいの黒くて細いアンテナが垂直に伸びています。
後ろの壁を取って見た所。左上のオレンジの箱がELTです。
中に大きな衝撃でスイッチが入るシステムが入っています。
ちなみに、右にあるケーブルで後ろのコントロールを動かしています。(ラダー、やエレベーター、そしてトリム)
最後部の壁あたりに尾翼があります。
赤い矢印の所がELTのアンテナです。
(見やすいように、ちょっと編集してます。)
航空緊急用周波数の121.5MHzと243MHz(新しいデジタル装備では406MHz)が使われます。 その信号は捜索救助衛星で受信され、その情報が地上の施設に通報されます。 まあ信号と言っても、凄く変な音・音声信号です。(デジタルの場合はその音の中に色々な情報が含まれてます。) 通報後はその信号を頼りに遭難機の探索が行われます。 またATCや航空機もその信号を受信する事が出来るので、衛星よりも先に通報が行われる場合もあります。
余談:
現在、406MHzを使う次世代のシステムに変更されつつあります。 デジタル化が進められ、精度の向上が期待されています。 (121.5MHzと243MHzはアナログ式です。) 一部の航空機では既に406MHzも義務付けれられています。このままですと 2009年には人工衛星による121.5MHzと243.0MHzでの受信が終了する予定です。 その後はATCや飛行している航空機が頼りになります。アナログ式ですと97%が誤作動による信号でした。時期は別としても、デジタル化は避けられないでしょう。(未確認ですが)デジタルになると、もっと詳しい信号が送られ機体番号などの情報も発信されるそうです。
ELTの誤作動確認
着陸で衝撃が強くなった場合等では、事故を起さなくてもELTの電源が入ってしまう事があります。飛行機によっては電源のスイッチがある物もあります。もし間違って、電源が入ってしまうと迷惑にもなりますし、本当に必要とされている人にも悪影響を及ぼしかねません。 その為にELTの電源が入っていないか、作動していないかと簡単に確認する方法があります。 それは無線機を121.50MHzに合わせて、ELTの信号が出ていないか聞くだけです。聞いた事が無い人でも直ぐに分るぐらいの、変な音が流れます。簡単なテストですから、ちょっと強めの着陸をしてしまったり、乱気流の中を飛行したり、負荷のかかる操縦をした時は、ELTを確認しましょう。できれば毎回のフライトの後にでも確認するべきです。97%が誤作動ですが、簡単に防ぐ事は可能です。
ELTの動作確認
ELTも機械ですから、故障する時もあります。電源をオンにすれば121.5Mhzで独特な信号が出るので比較的簡単に動作確認が出来ます。しかし、テストばかりだと、どれが本当の救助信号か分らなくなるので、ELTの試験をしても良い時間帯が決まっています。 それは毎時の00分から05分までです。
(例:xx時00分 〜 同じxx時05分までの5分間) first 5 minutes after the hour。
ELTのBatteryの交換時期
ELTは飛行機の電気系とは別になっています。通常の訓練機ではFAA認定の電池(Battery)が使われています。電池は自然放電などで劣化しますし、使ってしまうと短くなります。 航空法FARでは、ELTの電池の交換時期を指定しています。(充電が可能な電池、Rechargeableの場合は、充電が必要な時の事となります。)
- 使用時間が合計で1時間に達した時。 (in use for more than 1 cumulative hour)
- 寿命の半分に達した時。 (When 50 percent of their useful life expires)
ちなみに20年前ですが、ELTのバッテリーを分解したら、一般にアメリカで販売されているアルカリの乾電池でした。Energizerって言う、アメリカでは凄く一般的な物で、皆で大笑いしてました。 しかし単なる乾電池もFAA Approavedになると値段が凄く高くなる! "It keeps going and going, going, going"