Unusual Attitude Recovery
これは計器飛行状態で飛行機の姿勢が思いっきり「狂った場合」の対処法や、それを勉強する訓練です。普通に飛んでいれば異常な姿勢になる事は無いのですが、十分な訓練を受けた事の無い操縦士が雲の中に入ってしまうと、かなりの確立で異常姿勢(Unusual
Attitude)になってしまいます。機首が上った状態、Pitch Upの際はStallをしない様に注意します。そしてPitch
Downの時はダイブが治まるように飛行します。
数分なら大丈夫な時も多いのは否定しませんが、長くなると確実にDisorientationを起し、Unusual Attitude、異常姿勢になります。(教官が居る時
は、無意識の内に頼るので、現実とは全然違います。)
(下に基本操作を書きますが、あなたの飛行機にPOH、 Pilot Operationg Handbookで手順、Procedureが指定されて居る時は、それに従って下さい。下記はメーカーからの指定が無い時の基本操作です。)
この状態でVFRは危険です! |
基本動作は
- 状況を判断する。 Pitch UP、 Pitch DOWN、 Straight?
- その状況に応じて、飛行機をStraight-and-Levelに戻します。
- そして、Power, Trim そして計器を修正します。
- 最後に必要なのが、リラックスして状況判断そして指先で操縦桿を(Fingertip Control)
(リラックスまでは訓練や試験に入りませんが、実際の時は必要ですよ。)
Pitch UPの時
Noseが上がった状態で一番注意しなくてはいけないのがStall(失速)です。計器飛行状態で失速すると大変なのは、訓練を受けられている方ならもうお分かりでしょう。機首が異常に上がっていると気が付いた場合は、まず最初にPowerをFull Powerにし、少しでも減速を抑えます。そして失速を起さない様にPitchをレベルまで持って行きます。そしてバンクを水平に戻します。とりあえず早く失速の危険性から抜け出す為にバンクよりも早くPitch Downを考えます。
- Pitch UPを確認。 姿勢計だけでなく、高度計、速度計、VSIで確認します。
- Full Power (減速と失速を防ぐ)
- Pitch DOWN to Level (失速を防ぎ、姿勢を戻す)
- Bankを0度に。 (Wing Level)
- Straight-and-Levelをする為にPowerをCruiseに,
- TrimとInstrumetsを調節・確認
1〜4までは、ほぼ同時に行うのが理想的です。しかし最初の段階では、上記の順番を意識して行ってください。理論的にも上の順番で行う方が安全です。
Pitch Downの時
Noseが下がった状態で一番気になるのがSpiral Diveと言うバンク角度のきつい急降下です。バンク角度が大きいとLiftが横に生まれるので、急降下を起こします。またOverbanking Tendency(外側の翼が早く飛行する分バンク角が大きくなる現象)で、バンク角度がもっと大きくなろうとします。上に行くLiftがもっと傾いた状態ですから、Noseはドンドンと下がり、Overbanking Tendencyも一段と強くなって悪循環に入ります。速度も簡単にVneまで加速してしまいます。機首が異常に下がっていると気が付いた場合は、まず最初にPowerをIdleにし、少しでも加速(速度)を抑えます。そしてダイブの元になっているBankを最初にLevelまで戻します。そのままPitch UPすると高速での失速に陥る可能性もあるので先にバンクを水平に戻し
ます。そして、急激な操作を避けてスムーズにPitchをレベルにします。この間は一瞬で行うべきですが、基本的な順番は上に書いた順番で行うのが基本です。ただ機首上げは急に行うと負荷(Load Factor)が急にますので、
空中分解や失速を避ける為にスムースに上げます。
- Pitch Down, Diveを確認。 姿勢計だけでなく、高度計、速度計、VSIで確認します。
- Power Idle (加速を抑える)
- Bankを0度に。
- スムーズにPitch UP (急激な操作は機体の破損や失速の元になります。)
- Straight-and-LevelでPowerをCruiseに。
- そしてTrimと Instrumetsを調節・確認
1〜3までと4番のPitch UPの開始のみは、ほぼ同時に行うのが理想的です。しかし最初の段階では、上記の順番を意識して行ってください。理論的にも上の順番で行う方が安全です。ただ4番のPitch UPだけは急激に行わないで下さい。
どちらの操作も、ほぼ同時に行う事になりますが基本の順番がありますので、それを覚えてください。
Atitude |
意識する事 |
初期行動 |
どちらが先? |
Nose UP |
Stall 失速 |
状況を判断し
Power Setting
を変える。
|
Nose Level (Down) |
Nose DOWN |
Spiral Dive 急降下 |
Bank 0 (Wing Level) |
また姿勢計, Attitude Indiucatorだけに頼るのは危険です。間違いなく姿勢計(Attitude Indicator)は計器飛行の基本ですので、基本に使うのはOKです。
でも、他の計器も確認しましょう。姿勢計も壊れている場合もありますし、教官や試験官がわざと狂わせる時もあります。
姿勢計にも設計上は若干の誤差もありますし、針一本分から半分で飛行するのが本当の計器飛行ですから、それだけに頼るのは余りお勧めではありません。
それに計器飛行では一つの計器に頼るのは厳禁です。
また上の手中には抜けていますが、私個人的には7番を付け足すのをお勧めします。(これは訓練では無くて、本当に遭遇した場合です。)
7. リラックス。 Trim and Finger Control
本当に雲に入るとビックリします。横に教官とか他にパイロットがいれば精神的に落ち着く事もあり、多くの事故を防ぐ事が出来ます。
でもSoloや未経験者を乗せこの状態になると、頼る者が居なくプレッシャーが10倍ぐらいになってしまいます。
また精神的な不安的からSpational Disorientationの可能性が凄く高くなります。
このUnusual AttitudeはSpatioanl Disorentationの状態で、その状態から回復するのが目的です。
間違えないで頂きたいのは、経験を積んでもDisorientationは無くなりません。経験を積むと、陥っても回復するのが早くなるだけです。
本当の雲の中に入ると、5メートル先は見えません。初めてだと別世界なのでパニックを起して、操縦が不能になります。 多くはチャートや他の物を見ている時に無意識に入ってしまい、余りにも急な出来事なのでパニックになります。(これは経験済みですから間違いありません!)
教官が無理やり起すUnusal Attitudeと、無意識に陥るUnusual Attitudeは全く違います。
実際のRecoveryが終われば、ゆっくりと深呼吸をして、トリムを合わせて、指先だけで飛行出来るようにします。
そして、落ち着いてその計器飛行状態から抜け出す方法を考えます。
注意
VFRで雲に入るのは禁止です。 雲の中に入るには、計器飛行の許可と計器飛行の資格が必要です。 この訓練は、万が一の場合を想定したエマージェンシー(緊急)の手順ですので、訓練を受けたからと言って、雲に入る事は出来ません。 (後はど田舎や海上を夜間離陸する時に似た様な状態になりやすいので、その際の準備でもあります。夜間飛行は雲から十分な距離があれば合法ですが、危険なのでご注意を)
それから、操縦の方法は色々とあります。基本的にはどれでも同じなのですが、混乱を避ける為に手順は貴方の教官に従って下さいね。間違った事を書いてるとは思いませんが、教官でも誰でもパイロットは多少自分の飛び方ってのがあります。ここは参考にして、実際の訓練は教官に従ってね。その方が早い。