Approach Category
IFRを行う各航空機にはApproach Categoryが指定されています。 このアプローチ・カテゴリーによって飛行可能な最低のCeilingやVisibilityが決まります。
(CeilingはMDAやDHと雲などで見えなくても降下できる最低高度。 Required in-flight VisibilityやRVRがカテゴリー別に決まってます。)
アプローチ速度に合わせて、A〜Eでこのカテゴリーが決まっています。 (ヘリコプターはA。 Eは少ないと言うか、見た事が無いので答えられません)
Instrument Approachで下降できる高度は、パイロットが決めるのでもなく、管制官が決める物でもありません。 同じアプローチでも空港や航空機で合法的に下降できる高度が決まっています。 また単に、滑走路が見えたり、Approach Lightが見えるだけで着陸が出来るとは限りません。例えば雲の層を見下ろしてApproach Lightが見える状態。それでは前が見えている訳では無いので安全とは言えません。Visibilityの指定が各アプローチで決まっていまして、飛行中にそれだけのFlight Viabilityが無いと着陸(それ高度以下の飛行)は認められません。ですから、雲の下にRunwayが見えても、Visibilityが不十分な
飛行速度でその機のApproach Categoryが定められ、それに合わせて、Minimumが決められています。
例えばカテゴリーが”B"なら、計器飛行状態安全に降りられるのが、
Straight-in (Runway 32)の場合なら、580 feet MSLでVisibilityが1-1/4マイル必要になります。
Circlingを行う場合なら、640 feet MSLでVisibilityが1-1/4マイル必要になります。
Approach Categoryは航空機のVREFで決まります。もしVREFが無い場合はVSOの1.3倍を使います。
(私が乗ってきた小さな飛行機ではVREFが設定されている機はありませんでした。)
Category |
Max Speed |
Circling Approach Area (半径)
|
A |
0 - 90 knots ヘリコプターも含む |
1.3 miles |
B
|
91 - 120 knots |
1.5 miles |
C |
121 - 140 knots |
1.7 miles |
D |
141 - 165 knots |
2.3 miles |
E |
165 knots以上 (一部の空港に有ります。) |
4.5 miles |
VREF はReference Landing Speedと言う意味で、POHなどで指定された着陸速度の事です。重量やフラップの設定で変化する機種もあるそうです。
Vsoの定義はthe stall speed in landing configuration at maximum gross landing weight。 まあ、着陸態勢で無いと意味が無いのでVsoになります。 訓練ではCleanで行うかも知れませんが、実際は着陸が目標ですよね。
このCategoryには重量や大きさには関係が無いんです。 理由は、飛行機の旋回半径やStandard Rate of Turnでのバンク角度は、速度のみで決まります。 極端な話ですが、一匹のハエや蚊でも、100ktsの速度で飛行しているなら、100ktsの飛行機と同じ結果になるんです。そして、基本的にはIFRでの旋回はStandard Rateや30度(25度)バンク制限も有りますので、Approachの設計で基本になるのが速度になります。
上の表にCircling Approach Areaは、この違いが分かる様にとの思いで書きました。 Category Eなら4.5マイルと結構、広いでしょ。 空港によってはClass-Dよりも広い。 しかも165 ktsと言う速度は、私らでも経験が可能な速度ですからね。しかも旋回半径は速度の2乗に比例するので、思っているよりも大きく影響されます。
Approachが作られる時には、飛行機が障害物や山に激突しない様にと設計されます。 あるアプローチでは250フィートとか、Circlingでは300とかが細かく決められています。 このApproach Categoryで、航空機の安全を確保する範囲と障害物などからの最低高度が決められています。 先ほども書きましたが飛行機の旋回半径は重量には関係が無く、速度で決まります。
細かい事や計算方法はTerminal Instrument Procedure TERPSと言う物で定められています。 名前は似てますが、私らが言うApproach PlateやApproach Chartではありません。 FAAの8260.3b (現在はChange 21)と言う分厚い本です。ネットで公開されていて、見たのですが物凄く細かいので、操縦士には計算された物を守るだけで十分です。
興味が有る方はFAAのサイトから探してください。
http://www.faa.gov/documentLibrary/media/Order/8260.3_1-18.pdf http://www.faa.gov/regulations_policies/orders_notices/index.cfm/go/document.information/documentID/11698
TERPSは着陸やApproach、Departureや離陸、Holding, Missed Approach, Procedure Turnでの最低高度の決め方を詳しく説明しています。Approachが作られる時や変更の時にはFAAにTERPSの専門家が居るそうです。 (TREPS Specialist)
またTERPSと言うのはICAOの物とちょっと違います。 基本的にはICAOの方が厳しくなってます。例えばですが、CirclingではCategory Dの飛行機は2.3マイルですが、ICAO (PANS-OPS)では5.28マイルです。 1997年にグアムで墜落した大韓航空機はこの違いで墜落した可能性があるとも言われています。日本ではどちらが使われているのか不明ですが、両方を飛行される方は、その差に注意して下さい。基本的にアメリカの方が緩いので、コースからはあまり離れない方が良いでしょう。
注意:
Minimumはあくまでも最低高度ですから、Ceilingが高ければ、より高い高度を飛行する方が安全です。 上の場合は地上から600フィートしか余裕がありません。 障害物からはたったの300フィート天候に余裕があれば、高く飛行するのは当たり前の事です。
Approach Categoryは各航空機に一つしか有りませんが、Approachや飛行速度が速くなる場合は、その速い速度に対応したMinimumを守って下さい。VREFが85ノットで有っても、Approach速度が125 knotsでしたら、Category CのMinimumを守って下さい。先ほど書きましたが、飛行機の旋回半径は速度に大きく比例(2乗に比例)しますので、少しの差でも大きく変化します。
Jeppsenチャートの例:
Straight-in Runway 6なら MDAが2,480フィートですが、カテゴリーでVisibilityが変わります。
Category Aなら 1.25マイルですが、Dなら3マイルになります。