Single-Pilot Resource Management (SRM)
Workload Management 作業の管理
Workloadとは 『行う必要のある作業、工程、操作、仕事』、辞書によると『作業負荷』
操縦中とかに、必要な作業(Workload)が多くなれば、普通は行動が早くなります。
その作業が多くなり、複数の事を同時に行う必要が増え、注意力や集中力が薄れます。
人によったり、作業がより多く増すと、他の事を忘れ一つの事に専念する傾向があります。
すると、パイロット・エラーの元になりやすくなり危険度が増します。
その状態を『Work Overload』と言います。作業が多すぎて消化できない場合を指し、操縦中は危険な状態です。
Work Overload は
「危険な作業過多」とでも訳せるかな。地上や教室、仕事場に居れば休憩を取る事も出来るけど、飛行中は簡単に休憩が取れる訳ではありませんからね。 飛行中はWork Overloadにならない様に注意しましょう。 勿論、訓練生として教官を乗せてるなら別でしょうけど、パイロットが貴方だけならWork Overloadは危険です。そうならない様に準備をしっかりしておきましょう。
Work Overloadにならない様にするには。
適切な準備を行う事によって Work Overload を減らす事が出来るを理解する。
IFRの手順を理解・準備しておく。(IFRパイロット)
飛行中の作業(Workload)は常に有るので、それを理解し、順番をつけておく。(Prioritizeする, Priorityの動詞)
必要に応じて、飛行中にも順番を変えるようにWorkloadを管理する。
飛行中の様々なDistraction、混乱、邪魔、迷惑行為に対しての対処法を考えておく。
Planning and Preparation 計画と準備
飛行中は作業にムラがあります。 離陸中や着陸中は忙しくなりますので、忙しくなる前に準備をしておくのが良いでしょう。飛行前の準備は当たり前ですから、飛行機に触る前に出来るだけの準備をしておきましょう。 また飛行中の対処法として、チェックリストにするべき項目を先に足しておくのも方法です。例えば、特別な装備が搭載されている航空機では、その手順をチェックリストに加えるとか、特別な周波数が有る場合にも、それをチェックリストに加えるのも方法でしょう。
真っ直ぐ飛行している間(Cruise)では、Workloadは少な目ですが、着陸中は最大になります。Cruise中など時間に余裕がある内に、着陸の準備をしておくと操縦が楽になります。 私は飛行中にApproach等の周波数を聞き、言われる事を予測したり、他の航空機に告げられている周波数をメモしておき、これからの事に備えておきます。最近の飛行機は予備の(次の)周波数を先に合わせておく事が出来るので、最低でも周波数は合せておきます。余裕があれば他の飛行機が何処にいるか、、何をしているかを聞いておきます。
私の場合、Approachが無ければTowerを遠くから聞いておき、どの様な手順(Procedure)が使われているか聞いていました。滑走路の向きはともかく、Patternへの入り方、Reporting Pointを聞いていました。 特に忙しそうな空港なら交信が暇そうな時に、遠くからでも交信を始めるのも方法です。 余裕の有る時に、少しでも先の準備をして置こうと言う考えです。
IIFR Procedure/Preparation 計器飛行の準備 (IFRパイロット向け)
・ シュミレターで練習するとか、個人のパソコンで実際の離陸やアプローチを先に練習しておく。市販のソフトでも良いのが有るよ。
・ 一人ででもブリーフィングを行う練習をする。 他に操縦士が居ると仮定して、彼に説明(ブリーフィング)を行う。
(知合いの操縦士に聞いて貰うのも事を頼むのも方法だし、教官に聞いてもらうのも良いでしょう。)
・ 飛行中に、アプローチの種類が決まれば、早い段階でそれに使う、それぞれの周波数などを確認する。
・ 飛行中には常に先の事を考えておく。"What is next step?"と考える癖をつけましょう。一つが終われば、次は何だと? 常に先取りを。
(飛行前にチャートを見ながら、順番(Step)を考えるのも方法でしょう。その時に周波数やMinimumをメモし,
頭の中で
Missed Approachを飛行し、手順を確認するのも良い訓練・準備になるでしょう。)
・ IFRを収得した後でも、他のパイロットと飛行し、Actualでの手順を練習するのも方法でしょう。
(カルフォルニアは天候が良いので、訓練中には実際に雲の中を飛ぶ事が無い場合もあるでしょう。
雲の中はまた違った世界があるので、航空法に関わらず、実際の雲の中を体験しておくと良いですよ。
初めて雲に入ると結構ビックリされます。私も怖い目に有った事があります。)
Prioritizing Tasks 手順に順番を
パイロットは操縦中に色々な事を行います。しかし全ての事を同時に行える訳ではありません。特に想定外の事が起こった場合や初めて遭遇した状態などでは順序立てて飛行する事が大事になります。 もちろん全ての事に対応する事は不可能ですが、何が一番大切かを考える癖を身に付けて、色々な場面でWork Overloadに陥らないようにしましょう。何も考えずに行動を起こすと、大事な事を忘れて危険な状態に陥るかも知れませんよ。
例えば、
Go-Aroundを行った場合、何時Towerにコンタクトしますか? 飛行中にエンジン停止、まず最初に? 予定外の雲が発生した、手順は?
他には、もし濃霧が発生したら? ロストした場合の手順は? Class-Bravoを飛行する際の手順は大丈夫? などと色々な場面での適切な順序立てが、Work Overloadを防止し、事故を未然に防ぎます。 「何が一番大切か?、次は?」と優先順位を考えて効率よく行動出来る様にしましょう。 そして、常に飛行機を飛ばす事が第一優先です。 管制官への対応は遅れても、事故を防ぐのが第一条件です。
Handling Distractions 妨害や邪魔、無駄に対処する
・ 暇な時に、準備をしておく。
Low Workloadの時にHigh Workloadの準備をしておく。アプローチ前や、飛行前に準備をする。(飛行前はもちろん、巡航中も)
チャートを等は先に目を通しておき、忙しい時には目を下にやるのは最小限に抑えましょう。
周波数を探すのも、筆記用具を探すのも、客のクレームに対応するのもDistractionです。
Work Overloadの元に成るので注意しましょう。
・ 一つの事に集中し過ぎない。
意外と多いです。 飛行時間に関係なく意外な事が起こると、注目がそこに集まり他の事が疎かになる事が多いです。
複数のパイロットが居るAirlineでも同じ事があります。意外な事が起こっても操縦を忘れずに。
無線機が壊れても、他の装備が故障しても、操縦が一番大事です。
(ATCとの交信、他の乗員や乗客との会話、他機の探索、異常表示への対策・・・・大事な事に対して、疎かになる原因例)
・ 交信や会話では自信を持ち、積極的に。
色々な意味がありますが、無駄な事を言われたら、後に言うように頼むとかが考えられます。
アプローチや着陸中に管制官から駐機場を聞かれる事があるのですが、余裕が無ければ「後で伝える」と言いましょう。
訓練中で教官が言い過ぎていて操縦に集中できなければ、「後で」と頼みましょう。 もちろんお客様でもです。
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