Wake Turbulence 後方乱気流、翼端渦流、Wingtip Vortex
飛行機の翼端から発生する乱気流で、特に離着陸中の航空機にかなりの危険性を伴います。 特に重たい大型機から発生する乱気流は強く、遭遇してしまうと操縦不能や空中分解の危険性が大きくなります。 その威力は飛行機の重さの2〜4乗に比例して大きくなります。(確か3乗だった気がするのですが、ごめんなさい。忘れました。) 旅客機などが飛行する飛行場では特に注意が必要です。 高性能の飛行機でも危険度はほぼ同じです。 今でこそ、皆が注意する事で収まってきていますが、あまりにも死亡事故が多く、かなり教育に力が注がれています。
大阪空港など滑走路に近い所で飛行機を見てください。直ぐ頭を大型の飛行機が通過すると、凄い風、突風が吹きます。その中に居れば、どれほどの勢いか体で感じますよ。Los Angeles空港の駐車場でもある程度は感じられるそうですよ。関西に住んでおられる方は、試しに大阪・伊丹空港のApproach Endに行ってみてください。何故危険かは直ぐに実感できます。 (渦の出来方の説明はこちら)
この乱気流の名前は 航法乱気流、翼端渦流と呼ばれて居ます。 飛行機が通過した後方で乱気流が発生するので、後方乱気流、英語ではWake Turbulence、Wake には呼び起こされるという意味があります。(通過する事によって発生するのでWakeと呼ばれるのでしょう。)また翼の翼端から発生した物ですから翼端渦流、Wingtip Vortexと呼ばれています。
この乱気流は揚力が発生する時に生まれます。 翼から揚力が発生しいる時は、翼の上の気圧は下部よりも小さくなります。その圧力差で翼には揚力という上方への力が生まれます。しかし、翼には翼端と呼ばれる終わりがあります。その場所では、揚力を作る代わりに、気圧差の為に下から上に空気が流れようとします。その逃げようとする空気の流れが乱気流の元になります。飛行機は前に進むので、翼の後方に渦を巻くような乱気流になります。図
Wake Turbulence 後方乱気流が強くなるのは:
この乱気流は離陸直後から着陸するまで発生しています。揚力が作られている間は常に発生しています。 そしてこのVortex(乱気流)の勢いががもっとも強くなるのは「Heavy-Slow-Clean」の状態です。特に注意するべきなのは重たい状態で、超重量機の後ろです。
- 重たい飛行機ではそれだけ多くの揚力が作られ、Vortex(乱気流)も大きくなる。
- 低速ではより多くの揚力が作られるので、大きくなります。
- 低速では、空気の通過量が少ないので、それを補う必要があります。
- その為にAngle of Attackを大きくします。
- すると翼の上下の気圧差が大きくなり、翼端から漏れる空気の量が増え、VORTEXが強くなる。
- フラップやギアが展開していない状態でも大きくなります。
- この状態をCleanな状態と言います。空気抵抗が少ない状態ですからCleanと言うのでしょう。
- 反対語はDirtyでFlapなどがDown, GearなどもDown状態で、空気抵抗が大きい状態です。
要注意 : 「Heavy-Slow-Clean」 = Vortexが最強
凄く重たい大型機で、燃料が満載で、低速でAngle of Attackが最も大きい離陸時がもっとも危険だよ。
最も注意して頂きたいのは、大型機(ボーイング747型機、MD−11、軍用ギャラクシーなど)の後ろです。 重さに比例するのですか、正比例以上で乱気流が大きくなりますからね。 アメリカで飛行していると意外と遭遇しますよ。日本と違って、Airlineも小型機も同じ空港を使う事が多いですからね。 まあ軍用機はあまり出会いませんけど、それでも結構、遭遇します。
中型旅客機でも強い乱気流を発生させるので、注意は必要です。 セスナでもまともに遭遇すると、凄く揺れますよ。 結構、ビックリします。
Wingtip Vortex 後方乱気流 Wake Turbulenceの動きと回避方法