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その他の安定性を生み出す要因とか:  高翼機、垂直尾翼、戦闘機

安定性などの世界は複雑ですので、設計で生計を立ててる様な人で無いと、全ては分かりません。ここでは、 左右軸に対しての安定性、Roll Stabilityなど関しての予備的な知識を、少々紹介します。

高翼機の場合

Cessna-152や172の様に翼が上に付いている飛行機では、このWing Dihedral (上反角)がほとんど有りません。 高翼機でも大きな角度が付いている飛行機も有りますが、低翼機に比べると小さくなります。

低翼機は高翼機に比べて、上半角(Wing Dihedral)が多くある。


これは飛行機の重心が翼の下に有る為、傾いても重心が飛行機を勝手に元に戻そうとします。翼の中心と、重心の位置がずれるので、勝手に重心が翼の中心に戻ろうとするからです。 
   (厳密には翼の中心では無く、揚力の中心点です)  

ある棒に、上と下に伸びる紐が付いていて、2本が垂直じゃな場合を考えて下さい。 (右の図)
   ・この状態で、矢印の紐を引っ張ってください。 するとどうなるでしょうか?
   ・2本の紐と鉛筆が、一直線に並んで、真っ直ぐになりますよね。
   
   ・飛行機で考えると、重力が飛行機の安定性を作っている状態になります。

 

この重心位置が下にある高翼機の利点であり、自然と安定性が生まれています。
この様な飛行機では、上反角の必要性が少なくなりますので、低翼機の様に上に反り上がる飛行機はあまり有りません。

(厳密には上に引っ張る力は、鉛筆と平行ですので、実際は重心の影響が大半です。)

垂直尾翼と安定性

垂直尾翼は、方向(Yaw)に対しての安定性を生み出す為に取り付けられています。 実はこの水平尾翼も横軸安定、Roll Stabilityを、半分以下ですが少し出しています。

Roll Stablitiy と Vertical Stabilizer 垂直尾翼も安定性の一部を発生している飛行機の翼が、なんらかの原因で上下、バンクすると、横滑り(Side Slip)が発生しますよね。 この横滑りが、翼の迎え角を変えて上反角翼の安定性を生み出していました。  でも、この横滑りが発生させる風は水平尾翼にも当たります。

水平尾翼に当たると飛行機の軸を中心に飛行機を回転(バンク)させます。 
そして、飛行機が水平に戻ろうとします。 

多くても数十パーセントぐらい。 でも、安定性の一部を生み出しています。

@ 傾くと横滑り、Side Slipが発生
A 横滑りの為に、正反対の方向からも風が来る。
B 水平尾翼に当たると、前後軸を中心に回転
そして、自然と水平に戻ろうとします。

戦闘機とか、アクロバットの世界

俊敏な動きが必要な場合、安定性と言うのは方向転換をするのに、必要以上の操作と時間が必要になります。 安定性を打ち勝たないと、方向転換し無いので、運動性が落ちるのです。 その為、戦闘機とか曲技をする飛行機では、上反角を減らすなどして、故意的に安定性を無くしています。

安定性が良い = 運動性が悪い = 安定性は変化を嫌います = 変化には余分な労力と時間が必要

嘘か本当か知りませんが、新しい戦闘機(種類は忘れたが新型の実験機)では故意的に不安定に設計して運動性を上げているとか。 それじゃ操縦が大変で人間では操作が不可能なので高感度なオートパイロット(コンピュータ、自動操縦装置)が付いているそうです。 そして、このコンピュータが壊れると、人間では対処が出来ないので、「コンピューターが故障すると、即パラシュートで脱出」が義務付けられているんだぞ、と大学の航空力学の教授に教えてもらいました。

注意: よくある誤解

上反角が有ると、翼が傾いた時に傾いた時に下の翼の面積が広くなり、同時に上の翼では狭くなり事で、揚力の不均衡が「面積の違いによって」翼が自然に水平に戻ると言う考えが有ります。 しかしは間違いです。

一見、正しそうに見える説明です。 しかし、良く考えてみると、 上の方に行った翼が発生させる横向きの成分に対抗する物がありません。 その為、 面積の違いだけで考えると、翼は傾いたまま飛行するだけとなります。

確かに面積の広い分、上に行こうとはします。でも、上の翼が、その反対の力を発生させます。 このため、この説明だけだと結局は同じ状態のままになります。

実際には、他の要素があるので、設計によっては別の意味で水平に戻ろうとする場合もあります。  しかし、「面積の違いで」元に戻ると言う考えは間違いです。

(こんな事を書きつつ、昔は私もこの様に間違えて教えてました。 生徒さん達、すいません。 勉強不足でした)

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その他の安定性を生み出す要因とか  高翼機、垂直尾翼、戦闘機

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