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Thunderstorm 雷雨、雷雲

Thnuderstorm とは日本語で雷雲と呼ばれるCumulonimbusと言う雲です。簡単に言うと「かみなり雲」です。 物凄く強烈な乱気流や雨、稲妻等と航空機には物凄く危険な気象現象です。 ピカッと光る物がLightningと言われる稲妻で、ゴロゴロと鳴る音がThunderです。この雷雨、Thunderstormは極度の危険を表す物で航空機を乗る者は、近づく事も避けるべきです。乱気流やウインド・シェアも最大になります。大型機でもまともに入れば空中分解もあるので、絶対に近づかないでください。雲の中だけ無く、この雲の下も乱気流や大雨、竜巻、落雷などで凄く危険です。

Cumulonimbus:
Cumulo-、Cumulusと言うのは積雲、上にモコモコと発達する雲の事です。
Nimbusとは雨雲の事で、雨や雪をもたらす雲の事を言います。

強烈な上昇気流 > 水分が増えて重たくなる > 落下 > 強い下降気流 > 上昇気流との境目が発生
境目では摩擦が発生 > 静電気が溜まる > 放電 = Lightning = ピカピカ > 空気を振動させる > Thunder 音

この稲妻がThunderstormの特徴です。 強烈な雨が降る時が多いですが、気象条件で地面に到達する前に蒸発してVirgaと呼ばれる現象が起こったりします。その為、Thuderstormで必ず発生している現象はLightningと強烈な乱気流です。

Thunderstormは危険

乱気流が物凄く強いのがThuserstormの特徴で、まともに入るとどんな飛行機でも空中分解を起します。局地的な強い上昇気流と下降気流が、飛行機に多大なダメージを与えます。 飛行機を設計する時には乱気流による影響も考えていますが、その予測数値よりもダントツに高いのがThunderstormです。 と言うか、まともにThunderstormに入る馬鹿なパイロットなんて居ないと想定しています。 AIMでは最低でも20マイル離れる事を推奨しています。

Hail (雹、あられ)は氷の塊で、高速で飛行する飛行機には危険です。速度が速いので穴を開ける事ぐらいは簡単に行います。また強烈な上昇気流が大気を上に押し上げるので、液体状態の雨水もFreezing Level以上に持ち上げられます。するとSupercooled Waterと言う状態になりやすく、Clear Icingの危険も高くなります。 また雷雲の回りでは、竜巻(Tornado)が発生したり、マイクロバーストと呼ばれる強烈な下降気流が発生します。 雲の中だけでなくThudnerstormの回りでも危険な状態が、いつ発生しても不思議では有りません。

稲妻、Lightningは、それほど危険とはされていませんが、航空機に穴を開けたり、電気系統や磁器類(コンパス等)を狂わせたりします。それに、まぶしいので操縦士の目も危険になります。 また、稀に燃料を引火させたりも有るそうです。 それと稲妻はまぶしいので、操縦士は目を守る必要があります。大きいのが目の前に来ると一時的に視力が無くなったり、失明する事も有るそうです。 特に夜間では注意が必要です。 コクピット内を最高に明るくして少しでも目を明るさに慣れさせ、サングラスを掛ける等と目を守る様にします。人によっては、片目をつむる事を薦める人も居ます。

たまに雷雲に入って来たと言うパイロットが居ますが、雲に入ったのが本当であっても、Thuderstorm自体には入ってないのです。Thuderstormの中心となる物の回りには大量の雲も発生するので、機上レーダーでもない限り何をしているのか分かってません。 ですからそんな無謀な話は聞いても無視して下さいね。 パイロットはどうしても自信過剰になる傾向があります。

Thuderstormや台風は自然の驚異です。 人間の大きさや知識では、想像を超える自然現象です。 絶対に無理はし無いのが貴方の生命を守ります。Thuderstormは殺傷能力が強いので、慎重に対応してください。

  • 間違って入ってしまった場合
    • 計器を見ること。 外部を見ると稲妻で、目が見えなくなる可能性が高くなる
    • エンジンを減速した時の設定にし、その後はエンジン設定を変えない。
    • 水平飛行を保つ様にするが、無理して高度は守らない。
    • 入ってしまえば、真っ直ぐと突っ切る方が早く貫通できる場合が多い。 
    • 旋回するとLoad Factor(G、ストレス)が増すので避ける

このThunderstormと言う現象

雷雨は大気の対流によって発生します。不安定、Unstableな大気の代表例でもあります。この熱の上昇によって生まれる上昇気流をConvective Current、もしくはConvectionと言います。 小さな規模のConvective Currentもあります。そして大きいのがThunderstormです。

典型的な例としては、昼間に太陽の直射日光で地面が熱せられ発生します。地面付近の湿った空気が地面の熱で暖められて上昇して発生します。上空での大気は地面の熱で温められる事が無いので、温度差が大きくなり大気が凄く不安定になります。温度差が大きいと上昇(対流)も強くなり。その分Thunderstormが発生しやすくなります。

地面の加熱だけではありません。日本のテレビ天気予報でよく言われている「上空に冷たい寒気が入り込んで。。。」と言う状態でも同じです。上に冷たい物が入り込むという事は、下の方が暖かいと言う事のなので、対流が起こります。

また、前線付近で暖かい大気が、冷たい空気の下に入り込んでも同じ事が起こりやすくなります。前線では初めから雲が多いので、Thunderstormが発生しても見えない事があります。 見えない雷雨をEmbedded Thunderstormとも言います。 小型機では気象レーダーを登載して居ないので凄く注意が必要です。 Convective SIGMETの対象にもなります。場所によってはSIGMETに含まれます。

VFRでもこの雲の下は気流の乱れが大きくて危険です。強烈なWind-Shearが頻繁にあります。 旅客機でも下降気流で離着陸時に地面に叩き付けられる時もあるぐらいですので、Thunderstormが予報されている時は飛行を取りやめるか、数時間待ちましょう。 一時間でかなり良いVFRになる時もあります。

Squal Line Thunderstorm

もっとも危険な状態のThunderstormです。 前線性では無いのですが、複数のThunderstormが並んで居る状態です。 最も威力が強くて、Hail(雹、氷の塊)、 Tornado(竜巻)、猛烈な乱気流、強烈な雨などがあります。 起こり易いのは寒冷前線の前方に出来る時が多いです。

Hail ひょう

HailはThunderstormの時に発生する、氷の塊の事を言います。 雲の中で発生した雨の粒(液体)が上昇気流で上の方に流されて、他と合流しで大きくなった液体が途中で凍った状態です。 またThunderstormの回りにも別の風が有る時があり、それで氷の粒が横に押し流されて、そのまま地面に到達してしまう状態です。 途中で溶ければ単なる雨なんですが、凍ったまま地面に到達するとHailと呼ばれます。

また上空でHailに遭遇すると、機体に穴を開けたりする時がありますので、ご注意を。 石の中にに時速200〜300キロで飛んでいると想像して下さい。記録では、ソフトボール大のアラレも降った事が有るそうです。

Moistureが必要:

皆さんに、一つだけ覚えていて欲しい事があります。 上昇気流がどれだけ強烈であっても、大気が物凄く不安定でも、Temperauture Inversionが強くても、強烈に強い前線や低気圧があっても、 Moisture(湿気、水蒸気、水)が無いと、雲が出来ません。もちろんこのThunderstormも出来ませんし、雨なんて絶対に降りません。 もちろん強烈な乱気流の可能性は残りますが、十分なMoistureが無いと雲や他の現象は発生しません。 

多くの皆様が行かれる西海岸では空気がカラカラに乾きますので、強烈な上昇気流が有っても雲が出来ません。 同じ頃に日本で同じ様になれば、湿気が多くて夕立になるんですけどね。 アメリカでも他の地域では多くの雨が降り、夕立も発生します。これは十分な湿気があるからです。 多くの気象現象はこの湿気、Moistureの存在が必要と覚えておいて下さいね。 西海岸は砂漠地帯みたいな所なんで、教科書の様な気象現象は少なくなります。 これは異常な程の乾燥と言えると思ってます。

Thunderstormに必要な条件

雲の発生には十分な水分が必要です。 雷雲が発生するには多くの湿気が必要です。 
そして、この湿気を上昇させる力Lifting Forceが必要です。(initial lifting force)
この、Lifting Forceも、それなりの規模が必要なので、不安定な大気、Lapse Rateが必要となります。 下が上よりも暑い状況

3 Phases of Thunderstorm

Thnerstormの一生は3つのStageに分かれています。 次のページへ  解説(Thunderstormの一生について)

 

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