「なぜか?」と結論を先に書くと、翼が根元から折れちゃう可能性があるんです。 飛行機の構造で最大の圧力が掛かるのは翼の付け根です。 そして、燃料が少ないと、その部分に掛かる負担が、もっと大きくなるんです。
下の図は、 翼の根元に圧力が掛かる簡単な説明図です。
上の図は、通常のフライトで、何処に一番のストレス、圧力が掛かるかと考えた図です。 細かい事を除きますが、翼の付け根部分に、一番大きな圧力が掛かります。胴体は下に行く重量が掛かりますが、翼の付け根では揚力によって発生する上に行く力が発生しています。その為に、付け根では差のが最大となり、一番の負担が発生します。付け根では、翼がハサミで切られる様な状態に陥ってます。
Zero Fuel Weightを考える場合に、どの状態が危険かと書きますと、 胴体が極端に重たく、翼が軽い状態です。 これはT/O Limit(離陸重量の制限内)でも起こりえますので、大きな飛行機になるとMaximum Zero Fuel Weightが設定されて、この危険性を回避する様にします。
なぜMaximum Zero Fuel Weightを超えると危険かと言いますと、根元に掛かる負担は、重量と揚力の差だけはありません。揚力によって根元を中心に回転、曲げる力も影響します。 しかも距離が有るので、ストレスは倍増します。
簡単に言えば、テコの原理で、既に圧力の掛かってる根元を強い力で曲げようとしています。 ストレスは 揚力 x 距離(Arm) と言う凄い回転力が有ります。
翼は揚力を生みます。
ZFWに近くて重たい場合では胴体の下る重力も強くなり、その分を補填する様に揚力が強く発生します。 その結果として、翼は思いっきり上に上がろうとします。すると、付け根の部分に、テコの原理で強烈な回転する力がより強く働きます。 すると、ちょっとした事で、根元が折れる可能性が高くなるんです。 (翼の根元では圧力差だけでなく、回転するストレスも発生しているのです。)
根元に掛かる圧力は 距離 x 揚力 となるので半端に無く大きな力です。 テコの原理を思い出してください。 ちなみにこの場合の距離(Arm)は片方の翼のCenter of Liftになります。Twisting MomentやTorqueとも表現が出来ます。
しかし、翼に燃料が有ると、その燃料の重さが、翼の揚力を打ち消す様な状態になります。 その結果、付け根に対しての曲げ様とする圧力が軽減されます。 その軽減を考えて翼の根元を守り、空中分解(主翼の破損)を防止する為に、Max ZFWが計算され、搭載方法にも制限が生まれます。 C-152とかでは考え難いですが、翼の燃料ってのは、その重さで翼の根元を守ってるんです。
何も無い状態ですと、根元の圧力は Arm (距離) x 揚力 の計算式になります。 機体の重さが重たいと強烈な数値のストレスが掛かります。 (MZFW内ですと、揚力が少ないので、安全性が守られます。燃料が極限に少ない状態ですと全ての揚力が翼の根元を曲げ様ともするのです。)
でも、燃料が有ると、その重さ分の揚力(Lift)が軽減されて、根元への圧力は減り、安全に飛行が可能になります。
(実際の揚力は減っていません。 燃料を持ち上げています。 根元への負担が減ると言う意味です。)
もし、重量の多くが翼にあれば、揚力はその重量(燃料)を支えようとして、
根元に掛かる負担が減る事になるんで、同じ重量でも安全に飛行できます。 (翼の揚力が翼の中の燃料の重量によって打ち消しあいますので、負担がグーンと減んです。)
ちょっと違う角度から
ZFW 紹介 : ZFWの理由 : 別角度から
監修: 鴨下教官@オレゴン ブログ