HOME CONTACT LINK 検索
   ATC:航空無線      筆記試験 > PVT : IFR      PTS:飛行試験項目      お勉強室      航空辞書      けいじ板  

CG, 重心の位置とStability, 安定性について

CGの位置は、CLよりも前に。 そして、メーカーが定めた位置にCGが来る様に。

CG(重心)はCL(Cneter of Lift)よりも前に来る様に、荷物を搭載したり、乗客の位置を決める必要があります。 そしてCGが決められた範囲に来る様にします。その範囲を CG Limitと言います。

CGが制限よりも後ろにあると (Aft of CG Limit)

安定性が損なわれて、不安定になります。 先ほどのTail Down Forceが激減してしまうか、逆の方向に行ってしまうからです。 また重心が後ろの方に有ると言う事は、Tail Heavyと言う状態です。 この場合での 問題は、StallやSpinになった場合に、Tailが重たい為に頭を下げるのが困難になります。下げるのが困難という事は機首下げが遅れるので、StallやSpinからのRecoveryが遅れたり、間に合わない状態になります。 

またSpinでは、機首が下がらない為に回復不可能なFlat Spinに入ってしまう危険な場合もあります。(Flat Spinとは飛行機が水平にクルクルとSpinする状態で、墜落するまで回復は不可能です。エンジン出力を増せば良いなんて言う操縦士も居ますが、残念ながら間違いです。風が真横から来る為に推力は殆ど発生しませんので墜落するしか道はありません。)

またCGが後ろに来ると、Tail Down Forceが激減する為にElevatorの効きが過敏になります。 かなり後ろに行ってしまうと、過敏すぎて人間では制御出来なくなる場合もあります。

  • Aft CGが引き起す危険性
    • 安定性が無くなる
    • Stall Recovery や Spin Recoveryが困難になる。  (Tailが重たく、Pitch UPになりやすい)
    • Flat Spinの可能性が高くなる。 (Flat Spinは墜落しかない)
    • Elevatorの効きが過敏になり、操縦が困難に

CGが制限より前に有ると (Front of CG Limit)

CGが前の方に来ると、安定性が一段と増します。 ただNose Heavyな状態で機首は下がろうとする傾向が強く、低速の離陸や着陸では十分な機首上げが出来ない場合もあります。最悪の場合は着陸で機首から着地してしまうと言う事も考えられます。 水平飛行を保つだけでも機首が重たく、操縦桿やトリムを上気味にする必要があります。その為に、低速で飛行する着陸中に十分な機首上げが出来なく可能性が高まります。(低速では操縦桿の効きが悪くなります。)

頭が重たい状態では、エレベーターの効きではNoseを上られない可能性も発生します。 頭が重たすぎて、低速の着陸ではエレベーターの効きだけ不十分で着陸中に十分に機種あげ(Flair)が出来ない場合もあり、最悪ではNoseかのら接地があるかも。

またCGが前に有ると頭が重たく、水平尾翼はより多くのTail Down Forceを作る必要があります。 この力(Force)は下に向かっているので、重量と同じ作用です。その為、翼は飛行機の重量だけでなく、そのTail Down Force分の揚力を 作る必要が出てきます。 (Lift = Weight + Tail Down Force) Weightの分しかLiftを作らなければ、飛行機は水平飛行は出来ず、高度を失ってしまいます。

CGが前に来れば来るほど、翼はより多くの揚力(Lift)を作らなければ水平飛行が出来ません。その為、Pitchをやや上げて、揚力を多めに作る必要があります。 Pitch UPの状態ですから、抗力(Drag)が増えて、 速度が遅くなります。 また同じ速度でも、多くの揚力を作る為にAngle of Attackが普通よりも大きめです。 この為、翼は通常よりもCritical Angle of Attackに近い状態で飛行しています。その為 にStall Speedも早くなってしまいます。 (これは重量が増えた時と同じような原理です)。 

例えば通常は50ノットがStall Speedの飛行機を想定して見ましょう。 もしCGが前に来過ぎるとTail Down Forceが強くなり、その分を翼が補いますのでAngle of Attackがより 大きくなります。 Stallを起こすCritical Angke of Attackは一定ですから、Stallまでの余裕が少なくなります。その為、Vsが50であっても、CGが異常なほど前過ぎると55ノットで失速する場合も考えられます。Vsは重量やCGの位置にも影響されると覚えて置いてください。  

  • Forward CGが引き起す危険性
    • Nose Heavy
    • 着陸時に機首上げ(Pitch UP)が出来ない
    • 離陸時でも機首上げが困難になる
    • 速度が遅くなる。 (Tail Down Force分の揚力を作り出す必要が有るので、Pitch UP = 抗力が増加
    • Stall Speedの増加 機首を上げ気味にするので、より早い速度でCritical Angle of Attackに到達してしまう。

この安定性は、飛行機の速度に関係なく有ります。 低速では安定性は減少しますが、傾向は残ります
低速ではどの飛行機でも安定性は減少しますが、CGが前に有る方が、他の状態に比べると安定性は良い方のままです。
逆に、不安定な飛行機は、どの速度でも不安定です。

最後のページへ:   CG位置と飛行機の速度の関係について


Longitudinal Stabilityの原理 FAAの本より

 

最初のページ

Pitch Stability (Longitudinal Stability)

万が一、CGがCLよりも後ろに来ている場合
 
CGの位置は、CLよりも前に。 
そして、メーカーが定めた位置にCGが来る様に。
     CGが制限よりも後ろにあると (Aft of CG Limit)
     CGが制限より前に有ると (Front of CG Limit)

CGと速度の関係


 

 

HOMEATC:航空無線筆記試験 > PVT : IFRPTS:飛行試験項目お勉強室航空辞書けいじ板LINKサイト検索
Copyright c 2007-2017 Koji Ueda. All rights and Copyrights are the properties of Koji Ueda. All Rights Reserved. 上田浩史に著作権はありますが、お勉強・訓練には使ってね。教育関係はの方は必ず「CFI Japanから」と添えてお使い下さい。