飛行機はPitch Stablity (機首の上げ下げの安定性) を作り出す為に、
重心の位置を揚力(Lift)の中心位置から前方に来る様に設計されています。
重心をCenter of Gravity, CG。 揚力の中心をCenter of Lift, CLと言います。 重量も揚力も一箇所で発生させている訳では無いのですが、計算上それらの中心点と言うのがあります。 その中心点に全ての重量や揚力が発生していると考えても、間違いではありません。
普通の飛行機では、CGがCLの前に来ています。 また飛行機はCGを中心として運動しています。 CL(揚力)はCGの後ろに来ているので、CGの後ろに来ている翼は上に上ろうとする揚力を作り出しているので、 翼は上りながらCGを中心に回転を行おうとします。 その結果、飛行機は常にNose Heavy、 機首が重たい、Nose Downの状態になってます。 この機首が
下がろうとする状態を抑える為に、水平尾翼(Horizonatl Stabilizer)が下に行く力を作り出して、この回転する状態(Nose Down)を抑えて、飛行機の水平飛行を可能にしています。 この
力をTail Down Forceと言います。 水平尾翼は翼と平行に取り付けられている場合と、 翼よりも下向きに取り付けられている場合があります。 翼の後ろでは空気は下向きに流されるので、水平でもTail Down Force が生まれます。
この「重心と揚力の位置関係」 と 「水平尾翼のTail Down Force」で飛行機の安定性、Pitch Stabilityを作り出しています。テコの原理で小さな力で、遠い所にある水平
尾翼は少しの力でも大きな影響力があります。
もし、水平飛行している飛行機を何らかの理由で頭が下がると、飛行機の速度が上ります。すると翼と水平尾翼にもより多くの風が流れて、翼も水平尾翼もより大きな力を作り出します。 主翼を通過した空気は下向きに流れる(Downwash)ので水平尾翼ではその影響がもっと強くなります。また水平尾翼は遠い所にも有るので、Tail Down Forceが強く働き、Tailが下がり機首(Nose)
が上り元の位置に戻ろうとします。また、逆にPitchが上ると減速が始まり、今度は機首が下がり元に戻ろうとします。 これがPtich Stability (Longitudinal Stability)の元になります。