まず、インクラウドは絶対にしてはいけませんし、凄く危険です。 そして無許可の場合は違法行為です。 合法的な計器飛行の時のみに可能ですから、訓練生が単独で行う時は有りません。今回は事故みたいな物ですから仕方の無い事ですが、VFRでは雲に入れ無い事を忘れずに。 通常、経験の少ない者が入ってしまうと、空中分解を起こすほどの空間失調症、Spatial Disorientationになります。
体験者さんは、文章を読む限りでは、操縦は上手そうです。
飛行時間が無いのにこの様な状態から帰って来れたのは凄いです。 雲の中に入っても操縦し続けたのは凄い技量です。 しかも単なる雲では無い。 残念ながら雲中飛行は危険行為ですし、違法でも有りますので褒める事は出来ません。
まあ 教官さんにクレームを出したい所ですが、彼の技量を教えたのもその教官でしょうから、決して全てを否定する気はありません。
ただ安全対策に疑問を感じます。
もしですよ、この体験者さんが下記の事を聞かれていれば、、、
- 毎日普通に見えていますけどどうすれば安全なのかが分かっているのでみんな飛行しています、
- 訓練も行いますし試験もやります。
- これが現地の試験官や教官の言うコモンセンスだそうで、何故か日本人の場合は西か東かと聞いているのに「飛ばないとか」「東」と答える人が多いそうです。
こんな話を聞かされていると、判断力が鈍るのも理解が出来ます。 お2人にどんな関係が有るのかは分りません。でもこの様な風潮がある地域で訓練を受けていると、上記の様な話も聞くでしょう。 私はこれらの事も有ると想定し、教官はThunderstormの可能性がある時の飛行に関しては否定する様に教えるのが普通だと思います。 もし、教官が無理をするタイプなら、教官と貴方は違うと理解し、Thuderstormや積雲が多発する様な状態では、離陸を拒否する位の勇気が必要でしょう。 教官と一緒に離陸するなら、まだ安全かも知れませんが、それでも拒否する位の勇気が有るべきと思います。 最初は何が危険か、安全かは分からないと思いますが、安全な事は無いです。 それを基本に経験を積んで下さい。
例え別の場面で
「当然、危険なほどThunderstormの近くは飛行しない事が大前提ですよ、当たり前ですけど。 」 と「当たり前だけども」と強調されても、言っている事自体が矛盾しているので訓練生が悩むのも普通だと思います。 ですから教官は発言には注意をする責任が有ると思ってます。 私が皆さんに伝えられるのは、生徒も最低でも自分の命は本人が守るべきだと思います。 例え教官が不機嫌になっても、貴方が馬鹿にされてでもです。
「非常に気流も悪くなり高度も保てない。雲を避けようとくねくね、やがて雲も避けられなくなりました。」
これは、大気が一段と不安定になり、数マイルの範囲でThuderstormが考えられる状態です。
数マイルの距離で近づくのは考えられない事です。何度も書いていますが、毎日の様にThunderstormが発生する地域で教えておられる教官さん達が「飛行しない」を選ぶのが常識では無いと発言されるのか疑問でね。 何度も書いてますが、「飛行をしない」と言う選択も勇気のある素晴らしい行動ですよ。
この状況に関して言える事は、 先ほどと同じです。 Solo Cross Countryの前にDivertの訓練をしてるが通常ですから、危険な前に一刻も早くコースを変更すべきだったと想定できます。 「安全なThundertormは無い。 見えたら逃げろ。飛行をやめろ」としか言えないかな。
Divertの時には、「線を引いて、距離と方角を図って、、、」と学ぶのが普通ですが、
この様な場合ですと、計算している暇も無いでしょうからは、とりあえず目視で安全な所を目指してのDivertだったでしょうね。 それでロスト・ポジションしても、空中分解していなければ、無線で救助なりRadar Vectorをリクエストできたと思います。 事後処理は面倒でしょうが、命の方が絶対に重たいです。
"Mayday, mayday, mayday, Cessna 12345, I am lost. Please help me. Radar Vector Please"
言い方はともかく、滅茶苦茶でも飛行さえしていれば何とか成るでしょう。 空中分解していればもう終わりです。
それにCross Countryは楽しい時期で、ちょっと無理をしたくなる時期でもあります。
そう考えると多少の前書きが有っても、「飛ばない」と言う判断が常識外とも教えられると、
体験者さんが危険に気づかず離陸したのも、しいて言うなら、私を含めた全ての教官の責任でしょう。
また、私もこの様なサイトを作って居るのに、十分に危険性を伝えられなかった責任を感じ、このページを製作してしてます。