HOME CONTACT LINK 検索
   ATC:航空無線      筆記試験 > PVT : IFR      PTS:飛行試験項目      お勉強室      航空辞書      けいじ板  

Thunderstormとアクシデント 私が思った事と伝えたい事 (ADM)

ようやく飛行場が見えて来ましたが、もうこの時は、がぶられまくりだし、雨も酷い。800FTのパターンALTでしたが雲のせいで600FTかそれ以下を飛びました。パワーラインに気をつけて。ファイナルもがぶられ無理かと思いましたが再びパターンを回っていたらもっと酷くなるかもしれない、「どうせひっくりかえすならタキシング中にしてくれ」そう思いながら強引に着陸しました。

今回の体験では「雲のせいで600FTかそれ以下」で飛行されたと書かれています。 Tower空港かClass-Eが地面から有る空港ならSpecial VFRでしたね。 Special VFRが安全と言う考えも記述されていましたが、私はSVFRは危険な行動と断言しています。 確かにFARや日本の航空法では認められています。 でも認められているから安全と言うのが、短絡過ぎます。 Special VFRを行う場合は十分な経験と、行き過ぎるほどの安全確認が必要です。

もし、貴方がこの様な状態で空港に帰ってきて、Ceilingが800フィートならSpecial VFRをリクエストしても良いでしょう。と言うか、Special VFRで無いと、Class-DやE、Cには入れません。 生徒には薦められないSVFRですが、この状態は緊急ですからSVFRでしょう。 

でもSVFRのリクエスト方法を知ってますか? 分からなければ、正直にSpecial VFRの方法が分からない生徒ですと伝えた方が良いでしょう。 天候が極度に悪い、とか精神的に余裕が無い場合ならEmergencyを宣言するのも方法です。 後々が面倒でも、命の方が絶対に大事です。

フロリダではThuderstormが多そうですから、Special VFRの確認や練習を教官としておくのも良いかも知れませんね。

計器飛行からSpeciall VFRに切り替えて飛行する場合も実際にはありますが、それが事故につながるケースも多いと覚えておいて下さい。 CFI (教官)の書き換えコースで、この例が出てきます。 でも100%の否定はしません。 確かに合法ですし、空域を知り尽くしているなら、多少は理解できます。でも生徒には緊急時以外はさせません。

パワーラインに気をつけて」 命の危険を感じながらも、この冷静な判断や注意は操縦士として立派です。諦めなかった事が命をつないだと思います。 高度も600FTと書かれていますが、安定した高度を飛行しているとは思えません。 この様な低空では高度計より、回りを注意したのは正解ですね。 今はGPSですが、私の時代はLORAN。 昔はLORANに頼り切って、高圧線に衝突・死亡と言う事故も有りました。

Ceilingが1200フィートと言う状態が広範囲に広がっている日に、LORANとAuto Pilotが装備されている飛行機が離陸したそうです。 多分、層雲が広範囲に広がっていたのでしょう。 確かパイロットはCommercialを持っていたか、それぐらいの腕でした。 その飛行機が途中のPowerlineに衝突。NTSBが調べると、飛行コースが離陸空港から到着地まで真っ直ぐな飛行コースを飛んでいたと分かりました。 当時は画期的だったLORAN(今で言うとGPS)に頼り切ってのフライトで、Auto Pilotに操縦を任せると言うずさんなフライト。ろくにPreflightもせず、単にLORANで直線コースを選んだだけと単純な行動。離陸しただけでも驚きですが、チャートも見ずに飛行した為に起こった事故でした。 確かにVMCだけどね。

また、この様な低空飛行で、電線や障害物が急に見えた場合は、強引に操縦桿を引くのが本能的と思います。 しかし、急なPitch UPでも、慣性の法則で、急に高度が増える訳でも有りません。そして、急すぎると失速の可能性も有れば、高いG、ロードファクターで機体に損傷や翼が折れる可能性もあります。 ドキドキの状態でも回りに気を使われたのは大正解ですね。 私ならそんな対応が出来たか疑問です。

今回はThunderstormと言う悪天候ですから仕方が無いです。 でも、友達を乗せている時や、地面に居る人に対して自慢する様な飛行をする時には注意して下さい。 BuzzingやScud Runnningと言う危険な行動です。 また High Densityの時などに離陸する時、眼の前に障害物が有ると、思わず操縦桿を引きたくなります。 しかし、最適な速度はVxです。 無理な減速は逆に上昇率や角度が落ちるので、勘違いをしないで下さい。 以前に「私はCFIだから障害物を超えられる」と言っている人が居ました。 これは勘違い。 操縦士にどれだけ飛行時間が有っても、上昇率や性能が向上する訳でもありません。

> 続く

記事と書き込み(HTML版) : 目的 : 概要とまとめ : 本文 : 私の意見 : Flying IMC

HOMEATC:航空無線筆記試験 > PVT : IFRPTS:飛行試験項目お勉強室航空辞書けいじ板LINKサイト検索
Copyright c 2007-2017 Koji Ueda. All rights and Copyrights are the properties of Koji Ueda. All Rights Reserved. 上田浩史に著作権はありますが、お勉強・訓練には使ってね。教育関係はの方は必ず「CFI Japanから」と添えてお使い下さい。