Pitot-Static Systemは航空機の外にある気圧を測定して、速度や高度の情報を表示してくれます。 しかし、この気圧を測る為に設けられた穴が氷などで塞がれてしまう場合があります。 Static PortがIcingや雪で塞がれてしまう場合も有れば、何らかのゴミや虫が付着する場合も考えられます。 また管の中に水分が溜まって凍結したり、虫が入り込んで卵を産み付けたりと、想像外の事が起こら無いとは言い切れません。
この様な緊急時に備えて、航空機にはAlternate Static Sourceと言って、機内から空気を取り込む仕組みがあります。右の写真はセスナ機で見られるタイプです。 機種によっては、レバー式のも有れば、Fuel Drainに使われている様な栓を手で回して空けるタイプもあります。
私個人的には経験は有りませんが、Icingや雪の中で、この様な事が起こる時が有るそうです。 中には虫が生みつけた卵が、湿気で膨張したりする場合も有るそうです。 また、Portだけでなく、長年の利用や雨で、管の中に水が溜まる場合があり、それが上空の冷気で凍結してしまう事も有るそうです。
Static Portが詰まった場合は、Static Lineの気圧が変化しません。 その為、高度計とVSIは動きません。そして、Pitot Tubeが接続されている対気速度計は速度でなく高度に比例して表示されます。 この様な場合はAlternate Static Sourceを開けて、内部の大気を代用します。
それから、機種や年式よってAlternate Static Sourceの場所、形式、形、操作法が違いますので、初めての飛行機では離陸前に、場所と使い方を確認して下さい。 これもPreflightです。 特に高度計が故障している場合では、上空でマニュアルを読むのは大変です。
Alternate Static Sourceを使う上での注意点:
このSourceは緊急用です。 機内の気圧は外部と違い、若干の気圧差があります。 機内の方が、やや気圧が低くなります。 その為、Alternateを使うと、Static系の計器に若干のエラーが生じます。
- Airspeed Indicator: 早く表示される
Pitotの圧力と比べる気圧が下がるので、圧力の差が増します。 その為に速度がやや早く表示されます。
- Altimeter: 高度がやや高く表示される
高度計は気圧を測定し、高度を表示します。 気圧が下がると、高度が上ったと思うので、高く表示されます。
なお、機内に表示が無ければ、誤差は50フィート以内です。 (これ以上の場合は、注意書きが有ります。)
- VSI: 一時的に上昇を示しますが、直ぐに落ち着く
VISの原理は、時間差による気圧変化です。その為、一時的に気圧が下がるとVSIは上昇してると感知します。その後は気圧が安定しますので、水平飛行であれば、直ぐに高度変化無しの、0 FPMを示します。
- Alternate Static Sourceを使っても、問題が解決されない場合は、 VSIのガラスを割ると言う最終手段があります。
Pitot Tubeの場合は、凍結防止の為のPitot Heatが有ります。 雲の中に入る時にはオンにするとされています。 しかし、かなり電源を入れるとかなりの高温になる為、気温が暖かい時や地上では内部の管を溶かしてしまう場合が有りますのでご注意。またPreflightでチャックする時は火傷に注意して下さい。 暖かくなる事が確認できれば、直ぐに電源を落として下さい。
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