Multi Engine では多く飛行機でCritical Engineと言うのがあります。 何かと言いますと、多発機で左右のどちらかのエンジンが停止した場合に、より大きな悪影響を操縦や性能に及ぼす方のエンジンを言います。 双発機でより大事なエンジンとも言えますし、壊れると面倒な方のエンジンとも言えます。 (アメリカ製は大半が左側のエンジンです。)
多くの人はご存知と思いますが、Multi Engineの場合、片方のエンジンが止まっても、なんとか飛行が可能な様にと設計されています。 ただ片方のエンジンが停止すると、停止したエンジンは空気抵抗しか発生しません。 生き残った方のみで全ての推力(Thrust)を発生させる事になります。
でもエンジンが飛行機の中心線から大きく離れた所に設置されているので、この様な状態では強烈なYawが発生して、機首が故障してしまった方のエンジンに強烈な力で持って行かれます。 死んだエンジンは大きな空気抵抗だけで後ろに、生きたエンジンは片方だけで全ての推力を発生させて、左右のバランスが崩れて強烈な勢いが発生します。 Yawingが目立ちますが、RollやPitchも悪影響を受けます。 (多くの操縦士の人は無意識にエルロンを使うので、Rollも強いかも知れませんが、手放しで試した事がありません。)
認可されている飛行機では、この様な状態でも何とか飛行できる様には設計されています。 かなりの力でラダーを踏んだりして、何とか飛行を保ちます。 ただ、左のエンジン か 右のエンジンでの故障では、影響が変わって来ます。 片方のエンジンだけで飛行する際に、故障してしまうと操作や性能に『悪影響が強い方』のエンジンをCritical Engineと言います。両方とも大事なのですが、特に大事なエンジンとでも言いましょうか。 多くは左のエンジンがより大事なCritical Engineとなります。
Critical Engine Dead = More Adverse Affect
クリティカル・エンジン故障 = より強い悪影響 = 操作性や性能の低下が大きい
多くの多発機で、このCritical Engineが生まれない様にする為に片方のエンジンを逆回転させている機体もあります。 この様な飛行機では、右側のエンジンとプロペラが反対側、反時計回りに回るCounter Rotating Multi-Engine Airplaneと言うのがあります。 このセクションではCritical Engineに付いての説明なので、左右が同じ方向に回転する飛行機を想定しています。
Counter Rotatingでは無い飛行機を想定して下さいね。 また生産コストも高いので、訓練目的が低い、実用的でやや大き目の飛行機は左右が同じ回転のエンジンを想定している場合が多く、生産もそちらが多いそうです。
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Intro : P-Factor : A-Accelerated Slipstream : S-Spiraling Slipstream : T-Torque : Counter Rotating : Summary
注意とお願い:
このページを作るにあたり、グラウンドスクールを受けたり、複数の飛行教官さん達からアドバイスを頂いたり、また過去の知識を引きずりだしたりして、このページや今後のマルチのページを作成しています。しかし、経験や知識が少ない為か、どうしても理解出来ない所もあります。その様な所には「疑問」と明記したり、私の知識を駆使して、その代わりとなる「自論」を書いたりしています。その様な疑問や自論は明確に示しています。
何も記載が無ければ、教えてもらったり、テキストに出ていたり、ネットに公開されている情報を元に作成していますので、大きな間違いや訓練には支障が無いと思います。
しかし、飛行機の世界は深く、奥深い世界です。 意見や異論、質問があれば、メールなどで連絡ください。 逃げたくも無いので、皆で議論できる掲示版が本当は嬉しいです。 また貴方の教官さんと意見が違う場合は、そちらを優先して下さい。 飛行機には未知な所も多いのが現実ですし、本当に深いです。
また、私はMultiの資格はありません。 飛行時間と操縦した機種は複数ありますが免許は有りません。 飛行資格が無くても設計や整備は出来るのが現実で、研究員や教授が多く居るのも現実です。 でも、隠し事はしたく無いと言う気持ちも有りますので、ここに書かせて頂きます。一応、Advanced Ground Instructorではあります。
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