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2009 Instrument Written Exam (FAA Knowledge Test)
91.185
IFR operations: Two-way radio communications failure.
計器飛行方式で飛行中、無線機がぶっ壊れました。 どうしますか?
計器飛行方式(IFR)で飛行している時に、無線機が故障した場合の対処方法は、航空法(FAR 91)で定められています。 操縦士はそれに従って飛行する事になります。 FAR 91.185が法律ですが、AIMの6-4-1にはもう少し詳しく書かれています。
飛行している場所の天候はVFR?それともIFR?
一番最初に考えられる事は、気象状態がVFR状態であるか、どうかです。 もしVFR状態なら、VFR状態を保って常識の範囲で速やかに着陸します。
これはClass-A Airspaceでも同じです。 (AIM-6-4-1 c. 2.)
無線機が故障した航空機が一機でも居ると、ATCが混乱してしまい、多くの機体に影響がでます。VFRであれば、即座に着陸をしてATC上の問題を取り除きます。もちろん、相手には貴方が何をしているかは疑問です。例え法律で決まっていてもです。 その為、VFRの気象であっても、貴方を含めた多くの人間を危険にさらして居ます。
IMCで飛行を続けていても、途中でVFRの気象状態(VMC)になれば、VFRを保ち早めに着陸をして問題を減らします。
また着陸は「as soon as Practicable」です。ASAPや「即座にのas soon as Possible」では有りません。 FARでは無理な着陸は強制していません。 常識的な範囲で空港や滑走路に着陸して下さい。 Restricted Area内の空港に着陸しろとか、目的地の数分手前の空港に降りろとか、短い滑走路に着陸しろとは言っていません。 VFRでは速やかな着陸が求められますが、法律でも安全な着陸を求めています。
なお、Transponderは7600に合わせて下さい。 無線機の故障を意味します。
(私らの時代は7700を1分間、7600を15分間、これを繰り返すのがルールでしたが、現在では変わってるみたいです。)
VFR = Maitain VFR Condition, Land as soon as Practicable
Class-A Airspaceを含む。
IFR = FAR 91.185のルートで。
途中でVFRになれば、VFR状態を保って着陸する。
Tansponderは7600にあわせる。
VFRで着陸する時は、無理な着陸は強制していない。 |
送信機だけの故障の場合など
無線機が故障した場合、ATCはあらゆる手段で交信してくる可能性があります。 現在の周波数が無理な場合は、以前の周波数を確認するとか、VOR, NDB, Localizer等の航法施設の周波数やFSSや121.50Mhzも確認して下さい。 無線機の故障と言っても、受信と送信の両方が故障してるとは限りません。
雲の中など、計器飛行状態で無線機が故障した場合は、FAR 91.185で指定されたルートと高度を飛行します。
ルート(経路)
- 第一優先は(二つのケース)
- 一番最後に出されたATC ClearanceでのAssignedルート(指示された経路)
- Rader Vectorされている時は、故障した場所からRadar Vectorで指定されたポイントまで、直線コース
- Radar Vectorされる時は、「ラッキー」と思うだけでなく、「何処まで?」かをシッカリと聞いておく必要が有ります。
- 第二優先 (それらで指定されたルートが無い場合は)
- ATC Clearanceが無い時は「expected in a further clearance」で指定されたルート(経路)
- 最終選択 ATC からのAssigned ルートやExpected Further Clearanceが無い場合、
無線が故障した場合のルート |
1. |
・Route Assigned in the Last ATC Clearance Received、クリアランスで指定されたルート
・If Radar Vectored, レーダー誘導されている地点にダイレクトで飛行。 |
2. |
もし、Assinged Routeが指定されて無い場合では、
Expect Further Clearanceで指定されていたルート。 |
3. |
もし、 AssignedもExpected ルートも無い場合は、
Flight Planでファイルしたルート |
高度 (Altitude, Flight Level)
次の中で一番高いルート
- ATC Clearanceで指定された高度
- IFRで認められている最低高度、 MEAやMCAなど。
VORから22NM以内のMOCA
- これが最優先です。
- 障害物などからの衝突を防止します。
- 「expected in a further clearance」で指定された高度。
- 指定された時間後かFix/場所に到達した後に、高度を検討する事。
- Expected Further Clearanceで指定された時間やFixに達した後に無線機が故障した場合は、Expected Clearanceは無視する。
- その時点までにATCより修正されなかったと言う事は、Expected in a Further Clearanceが無効と言う事です。
高度 (Altitude, Flight Level) 下記の内、一番高い高度 |
1. |
ATC Clearanceで伝えられた高度 |
2. |
飛行してる場所で、最低飛行高度 |
3. |
Expect Further Clearanceが有った場合は、その地点や場所の後でExpected Altitude |
Expected PointやTimeの後に無線機が故障した場合は、
Expected Altitudeは無効になり、Assigned Altitudeの1番か2番の高い方を選ぶ。
|
Leave Clearance Limit
アプローチの開始
(アプローチの前とかの規定、無線が故障した時のアプローチ)
1. Clearance LimitがIAFの場合 (IAF = fix from which an approach begin)
- expect-further-clearance timeで指定された時間があれば、そのタイミングでIAFを出発。
- 指定された時間が無い場合(Expected Timeが指定されてない場合)
- Flight Planで指定したETEを元に、その時刻にIAFを出発する。 (離陸時間 + ETE)
- ATCにETEを修正を伝えた場合は、その時間を元にする。(Amended with ATC)
IAPを出発するのは、 Expected Further Clearance Timeの時。
Expected Timeが無い時は、Flgiht PlanのETEでIAP出発する。
(離陸時刻 + ETE = IAP出発時刻) |
2. Clearance Limtが IAF でない場合
- expect-further-clearance timeで指定された時間が有れば、そのタイミングでClearance Limitを出発。
- expect-further-clearance timeで指定された時間が無ければ、そのままIAFに向かい、
- Flight Planで指定したETEを元に、その時刻にIAFを出発する。 (離陸時間 + ETE)
- ATCにETEを修正を伝えた場合は、その時間を元にする。
"fix from which an approach begin" は IAF (Initail Approach Fix)の事です。
空港やアプローチによっては複数のIAFが有りますが、常識の範囲で操縦士は好きなのを選べます。 ただ無線機の故障が有った際の事を考えると、IFR Flight Planをファイルする時のルートはIAFまで か Feeder Facility まで指定してやります。 そうしないと、どのルートを使うのか管制官には分かりませんし、上空で貴方も迷う事になります。
Flight Planをファイルする時には無線が故障する事を前提にして、ATCからのサポートが無くてもEn RouteからApproachがスムーズに出来る様にしておきます。
IAFは、公式にアプローチが始まる地点です。 Flight Planをファイルする時のETEは、空港までの距離を単純に計算するのでは無く、IAFにして下さい。場合によってはIAFが50マイルも離れている時があります。 FAR 91.3ではEmergencyの際は、状況に応じて対処できる事になってますので、多少の誤差は許されます。 しかし、何をしているのかがATCには分かりませんので、IAFまでを基本として下さい。
また途中で、ルートが変更されたり、Vectoringで時間が大きく遅れた場合にはETEの変更をATCを伝えるのが良いでしょう。 万が一の無線機の故障の際に、現実的な時間にアプローチが可能になります。 これがFAR 91.185に書かれている「amended (with ATC) estimated time en route」に当たります。
FAR 91.185
(原文、 もし説明に違いがあれば、原文の方が正しくなります。 作成時は最新でしたが、最新のはFAAのサイトを見てください。)