どんな飛行機でも、どんな状態でも必ずPOHに書かれている手順に従って下さい。下記のは一般的なComplex機の平均的な操作です。
・出力を上げる時は、必ずPROP CONTROLからです。
・下げる時は、必ずThrottleを先に下げてからですよ。 |
Preflight とBefore Takeoff: プロペラの周りからオイルが漏れて居ないかを確認する必要があります。 オイルの量も必ずチェックね。潤滑油としてでなく、プロペラの角度も調節する物ですからね。 また離陸前のチェックでは、マグニドーだけでなく、Propellerもチェックを行ないます。 チェックリストに従って回転数を1,800 RPMなどに上げた時にProp ControlをLOW PRMにしてプロペラを動かします。 この時は"Prop Exercise"と言います。 3回ぐらいやるのが良いでしょう。 これで、PropやGovernorの確認もしていますが、Propeller内部のオイルを温められたオイルに交換する目的もあります。
Takeoff: Fixed-Pitchの様に全てのレバーを前に押し込みます。 (必ずスロットルは最後になる様にして下さい)
Density Altitudeが高い時は、必ずMixtureを設定してから離陸を始めて下さい。 FixedもConstant-Speedも同じです。
Fixed-Pitchの場合はAirspeedが増すにつれてRPMも上がりますが、Constant-Speedの場合はPropのAngle of Attackに合わせて変動しますので、回転数は一定のままです。
Cruise Climb: 障害物を越えるなど、最低の高度を稼いだら、スロットルをCruise Climbにします。 スロットルと絞った時はPropを少し手間に引きます。 だいたい、25 X 25 Squareと言う様に、スロットルを25 in Hg、回転数を2,500 RPMにします。 早く上昇したい時は、離陸時と同じようにFull Throttleでも飛行は可能です。(ただOverheatやDetonationには注意) また、実際のCruise Climb SettingはPOHを見て下さい。 25 Squareは一般的に言われているだけで、全ての飛行機に適用されるとは限られません。 (必ずスロットルをプロップの前に) MixtureはFixed-Pitchと同じ様に高度に合わせて微調整してください。
安全高度に達すると、エンジンに掛かる「負担の軽減」と「燃料を無駄にし無い」為に、出力を少し下げます。出力を下げるとプロペラが抵抗が増えたと勘違いを起して、Pitchが小さくなります。 (その代わりRPMは変化しませんが、Thrustは減少します。) 実際は出力が弱くなっただけなので、Angle of Attackが小さくなりすぎた状態です。 そこで小さく変化してしまったPropの迎え角を戻します。 Propellerの効率を上げる為に、Pitch Controlを手前に少し引きます。 Pitch角を大きくする事によって、プロペラの効率を上げます。 適切な設定はPOHを参考にして下さい。
Level Off & Cruise: 目的の高度にたっしたり、Level Offをする時は 「24 Square」と言う風にCruise Climbの時と同じ様に設定します。正確にはPOHの表を見て、最も効率の良い設定にして下さい。 この時も必ず、スロットルを下げてからプロップを操作します。 そして、Mixtureを同じ様に調節(High RPMに)して下さい。 EGTを基本にするのが良いでしょう。
スロットルを絞った後に、Prop Controlを手前に引くと、ググッグっと飛行機のプロペラの効率が上がったのに気がつくでしょう。 気が付かない時は緊張しすぎてる可能性が有るので、肩の力を抜いて下さいね。
Descent: スロットルを引いてエンジン出力を調節します。 プロペラの効率を上げたい時はPropを手前に引いても良いでしょう。 下降を止める時は、必ずPropを調節してからスロットルを開けて下さい。 またFull Throttleにする場合は、PropはHigh RPMと一番深くまで押し込んで下さい。
エンジンの出力を出したまま、下降するとかなり早い速度で飛行が可能になります。「本当にConstant-Speed Propellerは早いなぁ」って感じます。でも急いでる時はともかく、あまり早く飛行しても仕方が無いし、VaやVno以上の速度で飛行するのも余りお勧めは出来ません。その為に少しは出力を緩めましょう。 その時でも必ず先にThrottleを緩めてから、Propを操作してくださいね。逆は厳禁ですよ!
Descent for Landing: (着陸目的ではAirspeedがかなり遅いと想定できますので)スロットルを絞って、Fixed Pitchの様にRPMを基準に下降して下さい。 スロットルがかなり絞られている状態になると、プロペラ自体の抗力強すぎてRPMもスロットルに合わせて落ちてきます。これはPropコントロールを触らなくても下がります。 (Prop Controlはエンジンの最高回転数を制御してると思っても良いでしょう。)
Traffic Patternぐらいではそれほど速度を出しても意味が無いので、Throttleをかなり絞る状態になると思います。 すると出力が弱くなるので、RPMも下がって来ます。Constant-Speed PropellerなのでRPMを守うとするの為にPitch角もかなり小さくなってますが、それ以上にプロペラを回すエンジンの力が弱くなってるのでRPMもかなり遅くなって来ます。 この低出力の状態ではThrottleでManifold PressureとRPMを制御する事になります。 Fixed-Pitchと同じです。
この状態ではPitch Controlを手前にしても意味が無いでしょう。 急なFull Powerに備えてこの状態ではPitchをHigh RPMしておくのを薦めます。
途中で大きくエンジン出力を大きくするとまたProp ControlがRPMを制御するようになります。 なんらかの理由で出力を、大きく上げる必要が有る場合があるでしょう。 その時はPropeller Controlを調節しても良いですが、その時点で、すぐに着陸をする予定ならPropeller Controlを調節する必要も無いでしょう。 待機するのが目的な時は高速で飛んでもあまり意味がありませんので、安全を考えてHigh RPMにしておく方が良いとは思います。 最終的には状況を見て決めてください。
Prelanding Check: Prop ControlをHigh RPMに設定してください。 一番奥にです。"Prop Full Forward"です。 この状態ではエンジン出力はかなり下がって、飛行機のAirspeedもかなり遅いのでProp Controlは機能して無い状態に近くなっていますので気にせずPropを一番前にして下さい。 この段階では必ずPre-landing Checklistに従って下さいね。
着陸寸前では、Checklistの「Pre-Landing Check」を終わらせているはずです。その時にGear DownとPropellerはFull Forwardになっていると思います。 Propellerを着陸前にFull Forward(前に)する理由は、Go-Aroundの準備です。(計器飛行ならMissed-Approachです。) 緊急時の時にFull Powerにするのですが、その場合にLow RPM(Propeller Control)と後ろにした状態では危険です。 エンジンに負担を掛け過ぎて、危険な状態です。数秒続くとエンジンが崩壊しても驚きません。エンジンと貴方の命を守る為に先にPitch Controlを前にしておきます。
着陸の前にでは、もともとエンジンの出力が少ないので、Pitch Controlを変えても殆ど影響はありません。
Go Around / Touch-and-Go: 早くフルパワーにするのが基本ですが、Constant Speed Propの場合は先に"Prop Full Forward"です。高度も低く、危険な状態ですので素早くPropを確認して、Full Throttleにして下さい。もちろんAirspeedにも注意ですよ。
Prelanding Checklistで既にFull Forward / High RPMに成ってるはずですが、確認を怠らずにね。低空でエンジンを壊すのは危険すぎます。ちょっとの確認が最高の保険です。
Taxi: タクシー中はエンジン出力が弱いので、PropellerはHigh RPMの状態のままです。 Fixed Pitchと同じ様に操作してください。 安全の為にHigh RPMにして下さい。
Shut Down: 特に注意事項は有りませんが、High RPMにするのが普通です。 Fixed-Pitchと同じでMixtureをIdle Cut Offにします。 当たり前ですが、必ずChecklistを使用して下さい。
なお、エンジン停止中はManifold Pressure Gaugeは大気圧を示します。 標高にもよりますが低地で30ぐらいで、山岳地帯なら下がります。これはエンジンの入り口の大気圧を測定しているからです。 エンジンが動いている時は、エンジン自体が大きな真空ポンプ見たいな物で気圧が大きく低下します。 それでエンジンが停止してしまうと、真空ポンプが止まった状態と同じになるだけでなく、空気取り入れ口から大気が入り込み、大気圧と同じになります。