この様な問題は"Partial Panel"もしくは"Loss of Primary Flight Instrument"と言って、計器飛行中に一部の計器システムが壊れた場合の対処と操作方法の問題です。
この様な問題でも、実際でも一番最初に行う事は、どの計器に問題が起こっているのか? 若しくはただ単にSpatial Disorientationに落ち居ているのかと見つけ出します。 それから対処法を考えます。
現に起こっている問題が分らないと、対処できませんから、まず発生している問題を考えて見ましょう。 どの順番がベストなのかはその人や教官によると思いますので、順番は貴方の方法に合わせて下さい。 計器を冷静に読み。矛盾を見つけ、そして他の系統で確認するのも良いでしょう。故障時の異常な動きを想定して考えるのも方法です。バンク(旋回)とピッチ(高度)の2つの判断が基本になるでしょう。
計器飛行では、何ごとも最初の冷静とリラックス、Cross-ckeckとScanは忘れない様に。冷静で無いと計器は見れないし、Scanを忘れて一つの計器に気が取れらるとフライトがガタガタになるのは経験で分るでしょう。しかもそれが壊れてたら、どうしようも有りません。
Figure 146の場合 |
速度計
加速している
Vne付近まで増加 |
姿勢計
上昇と右旋回
(小さい飛行機の方向) |
高度計
上昇
4000フィート以上に行きそうな勢い |
Turn Coordinator
右旋回、
ややSLIP気味、許容範囲でしょう |
Heading Indicator
矢印が反時計回りなので、
右旋回です (左では無いですよ) |
昇降計
上昇
600 feet/minの上昇 |
旋回に関して: 全ての計器が右旋回を示しているので、右に翼が傾いているでしょう。 Tourn CoordinatorとAttide Indictorとは違う情報源(エネルギー源)を使ってるので安心です。通常は電気とエンジンに付いている真空ポンプ。
Pitchと高度に関して: 速度計はVne付近までの加速をしていて、Vne近くまでになってます。しかし、その他のPitch Instrumentsは上昇(減速)を示しています。姿勢計と高度計はまったく別の系統ですし、VSIの確認も有るので、Pitch Upして上昇してる様に見えます。問題は速度計がかなりの速度まで加速しています。 その為、速度計に問題があると考えた方がいいでしょう。 もし飛行機がVneまで加速するようですと、何時もと違った気流の音が聞えてきますので、実際に起これば音で、速度計の異常を感じるでしょう。
速度計、高度計、そして昇降計は同じStatic Instrumentsの仲間ですが、速度計のみ、Pitotを使ってます。 今回の場合は速度計だけに問題が発生し居ますので、Pittに問題があると想定できます。 Pitt管が詰まった場合は、速度計が高度計の様な動きをしますので、上昇すれば加速する所から、確実にPittが何らかの原因で詰まっていると想定できます。
その結果、Pitt管が詰まって、飛行機が右に旋回しながら上昇していると分ります。
上昇での注意点は、失速防止ですので、速やかに機首を下げて、失速を防止します。 回答には無いですが、エンジンのパワーを追加するのも良いでしょう。 次には、可能な限り早い段階で翼をレベルにしてやります。 今回はGyro系統には問題が無いので姿勢計Attitude Indicatorを参考にするのが良いでしょう。
注意: 先ほども書き込みましたが、計器飛行ではどんな時でもScanとCross Check。今回の様に速度計が異常なほど早い速度を示すと本能的に目が速度計に行ってしまい、他の計器が疎かになります。 Fixationと言う状態は危険ですから、どんな時にもCrosschekとScanningを忘れずにしてください。