5. Traffic Advisory (飛行交通情報) Transponder
Transponder
レーダー基本的な原理は電波を出して、その電波が物体を反射し、帰って来た電波を受信して航空機の存在とその位置(方向と距離)を判断します。しかし多くの航空機が居ると区別が付かなくなります。区別を付ける為に航空機にはTransponderと言う物が搭載されています。この装置はATCのRadar信号を受信すると、それに反応して、情報が含まれた信号を発信します。 レーダーはその信号も受信して、より詳しい情報を管制官に伝えます。
4桁の数字を操縦士がセットする事によって、4096通りの信号を出す事ができます。(数字は0から7まですので、組み合わせが4096通りあります。)その4桁の数字の事や合わせる事を「SQUAWK、スクオーク」と言います。Transponderが航空レーダーの信号を受信すると、SQUAWKしている信号を返信(送信)します。その返信された信号でレーダー上の航空機を区別し、管制業務を行います。
Approach等と交信すると、殆どの場合、トランスポンダーを設定させられます。 下記の場合でしたらトランスポンダーを3321にお合せてください。 (通常のVFR飛行では1200です)
ATC "Cessna 123, Squawk 3321 and Ident"
Pilot "Squawk 3321, and Ident"
ATC "Cessna 123, Radar Contact, 5 miles Southeast of Salinas VOR at 5,500"
Identと言うのはトランスポンダーにある「Ident」ボタンを押してくれ!って意味です。
別にスクリーン上で点滅するとか、大きな変化が有るわけじゃないですけど、
形がちょっとだけ変化して、少しだけ、管制官に貴方が見やすくなります。
ピカピカと点滅すると思っている人が居ますが、そこまでは変化しません。
Radar Contactとは「Radarスクリーン上で確認したよ」と言う意味です。 確認の為を含めて貴方の位置と高度を言ってくれます。 大きく間違ってる場合は、何か別に問題があるので、確認してね。その後に続く物は飛行機の位置です。その後はRadar上に他の航空機が居れば教えてくれたり、コースの確認をされたりします。 他の航空機の存在も知る事が出来るのでかなり安全に飛行できます。管制空域の端に来ると次の管制官に回されます。Hand-offと言いますが、多くの場合は事前に情報を伝えておいてくれるので余りする事はありません。周波数を変えて、高度を伝えるぐらいです。
Mode-A, Mode-C
Transponderには色々と有りますが、"Mode-A" か "Mode-C"が殆どの民間機に装備されています。Mode-Cには高度情報が含まれていますが、Mode−Aには高度の情報が含まれて居ません。 多くのMode-Cは高度計と連動しているのが多いです。また高高度、Class-BやClass-CなどでMode−Cが義務付けられています。
Mode Aを Mode 3/Aと言う事もありますが、両方とも同じです。 軍用機にはModeが1、2 そして 3があり、
民間機には、A,B,CそしてDと有るのです。 軍用のMode 3と民間のMode Aは全く同じです
Transponderが義務付けられている場所
アメリカで飛行する場合、機能しているMode-C Transponderが4ヶ所あります。
- Class-A Airspace (18,000 feet MSL以上)
- Class-B Airspace と中心空港から30マイル以内
- Class-C Airspace
- 10,000 feet MSL以上 (2,500 feet AGL以下を除く、山岳地帯)
搭載されていても、機能している物でないと行けません。(Operatable)
Radar Service Terminated レーダーサービスの終了時
管制空域からは外れると、レーダーサービスが終了します。 離陸後にRadarサービスが終わった時などは通常ですとトランスオポンダーを1200に合わせます。Enrouteでもです。 1200は普通のVFR飛行って意味です。
また着陸していく場合では、空港に近づくとRadar Serviceが引き続からます。引き続いた場合は、トランスポンダはそのままで飛行します。
でも着陸空港が管制圏外でRadarサービスが終わってしまう時もあります。TowerやCTAFと交信する様にとも言う時もあります。特にNon-Towerか、Towerのある空港に着陸する場合も終了する場合があります。 多くはTowerも貴方の存在を事前に知っていますが、大きな空港でも知らない場合があります。(ここらはTowerとApproachやCenterとの取り決めです。)その際はトランスポンダーを1200に合わせてくださいね。 下記はRadar Serviceが終わってしまった場合です。 離陸、エンルート、着陸何でも基本は同じです。
ATC "Radar Service Terminated, Squawk 1200"
ATC "Radar Service Terminated, Squawk VFR, Contact Tower"
ATC" Radar Service is Terminated, Squawk 1200, Frequency Change Approved"
こんな感じで終了する場合が多いです。 出発の場合、気の良い管制官なら、Centerの周波数を教えてくれる人も居ますし、忙しくて”Good Day”と最後につけて終わる人も居ます。
なお、VFRのSquawk コードは 1200なので、それにに合わせてと言います。 「Squawk VFR」と言う言い方もしますが、VFRは1200と決まってるので、この時も1200に合わせてくださいね。
Radar Contact Lost
何かの理由でRadar信号が届かなくなった時に言われます。多くの場合は装置の故障ですが、まれに山に隠れてRadar信号だけが届かない時もあります。
たまに「Primaryが見えるけど、貴方のトランスポンダー信号が見えないよ」と言われる事があります。 Primaryとは、Radarの信号が反射して、Radarスクリーン上に貴方の影が見えるけど、トランスポンダーの信号が見えないって意味です。 これはトランスポンダーが故障しているか、接触不良が起こっている状態です。着陸後にトランスポンダーを点検してもらって下さい。 最後までRadarに写らなければ、Class-Bの30マイル以内とClass- C Airspaceには入れませんのでご注意を。 これはもう「Operating Transponder」ではありませんからね。
Resume Own Navigation
レーダー誘導を終了しますので、通常方法(自立飛行、自機航法)で飛行を続けてください。
Used by ATC to advise a pilot to resume his/her own navigational responsibility. It is issued after completion of a radar vector or when radar contact is lost while the aircraft is being radar vectored.
これはRadarサービスの終了時や、貴方のRadar Signalを見失った時に管制官から伝えられるフレーズです。 この後は貴方が適切なコースを選んで飛行する事になります。 Radar Service中は管制官に従って飛行すればOKだったのですが、サービスが終った後は、貴方が責任を持って飛行する事になります。
でも勝手に飛行しても良いと言う意味ではありません。 常識に従って飛行してください。 Class-BやCを通過した場合はそのままのコースを飛行するのが常識で、90度や180度旋回を急にしてはなりません。 また、最後に高度制限が有った場合は、多くの場合、その後も高度を守ると想定されている場合があります。 実はここは微妙な所で高度に関しては最後の高度制限、Altitude Restrictionが続いているのか確認した方が良いです。(結構、間違いの多い事柄でもあり、明確にもされていません。 FAAの人間でも違う事を言う人が居るそうです。)
"Cessna 12345, resume own navigation. Am I still restricted to 5500 feet?"
理想は管制官が高度に関しても伝えるべきなんですが、忙しい場合が多いので無理な場合もあります。
"... Resume own navigation on course at or above 5500." (これだけでは交信の終了とは限りません)
日本の場合は、これは経路のみでの認証で、高度に関しては別扱いとなってます。違うクリアランスが伝えられるまで、高度を保つ事になっています。 (何故かFAAは明記していません。)
IFR、計器飛行の場合は事前に伝えられたIFR Clearance (IFR Flight Plan)のルートをする事になります。 Radar Vectorされる場合では、誘導される所までを最初に伝えますので、そのFixまでを常識的な範囲で飛行します。そして、コースに乗った場合はそのままClearanceで指定されたコースを飛行します。 Resume Own Navigationと言われる直前やその時にHeadingの指定をされる場合があります。(あまりにも変な方向の場合は、ATCに確認して下さい。) 高度は管制官に指示されたコースを守って飛行してください。また別にクリアランスがある場合は、ATCに確認してください
Radarサービスは、悪天候やTraffic(他の航空機)や管制間隔を保つ為に管制官がレーダーを見て指示する方法です。そのサービスが終ると「Resume Own Navigation」と言われます。 これはRadarサービスの終わりを示すフレーズです。また、水平方向だけに関しての指示で、高度まで自由になっているかは明確では無いので、事前に高度制限が有った場合は確認して下さい。
実は、このResume Own Navigationは100%明確で無い場合がありますので、貴方の教官にも確認して下さい。この後のコース取りや高度、周波数に関してが明確で無い場合があります。「Resume Own Navigation」とネット検索をして、英語のサイトを読むと、不明瞭なケースが多々あります。また日本とアメリカでも表記に違いが有りまして、これに関しては、日本の方がより明確です。
特殊なSquawk Code
1200 普通のVFRの状態 (これは特殊じゃないですけど、通常はこのコードを使うので記載しました。 普通のVFR機は1200ですよ。サービスが終わった時も、普通は1200です。)
7700 緊急事態
7600 無線機の故障
7500 ハイジャック